変な給食/幕内 秀夫
ブックマン社 2009-12-05
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まだ学校給食を食べていたころ。ニュースなどで取り上げられる学校給食は、どれもすごいメニューだったり、設備だったりして、「いまの学校給食は、こんなに進化した」みたいな取り上げられ方をしていたことを思い出す。
もちろん、自分たちが食べていた学校給食は、とてもオーソドックスで、マスコミに取り上げてもらうような内容ではなかった。ごくごく普通の給食だった。
世の中の学校給食は、すごくよくなっているのだろうと思っていたが、先日、新聞の書評欄で見つけた本が気になって、図書館で取り寄せてみた。
・みそラーメン
・手作りあんドーナツ
・くだもの
・牛乳
・生クリームサンド
・やきそば
・牛乳
・エビカツバーガー
(タルタルソース)
・コーンスープ
・雪見だいふく(アイス)
・牛乳
いずれも、本当に出された学校給食だ。この冗談みたいな組み合わせには、驚く。いまこうした“変な給食”が全国で出されているという。
もちろん栄養士さんたちが、栄養のバランスを考えて献立を作成しているということだが、どうにも腑に落ちない組み合わせだ。文部科学省から「学校給食摂取基準」という通達があり、これ厳格に守ろうとすると、奇妙な献立になる可能性があるしく、さらに関係者には「(個々の食事ではなく)一ヶ月単位でクリア」できればいいという考えもあるようなのだ。
変な給食に共通しているのは、たいてい主食がパンであることが多い。給食にパンを出すことの弊害を著者は説く。パン好きの僕にとっては耳の痛いところもあるが一理ある。
もちろん、こんな給食ばかりということはないとは思うが、常識とかけ離れた状況があるとすれば、きちんと是正しなければならないし、もし何らかの癒着から状況が変わらないのだとすれば許されることではない。
食育が叫ばれて久しいが、その根本とも言えるような給食において、“変な給食が”出手いると知ってちょっと意外だった。もしかすると、給食の世界でも格差が広がっているのかも…なんて思ってしまった。
本書のタイトルは、おそらく「へんないきもの」や「へんな古代生物」あたりから影響を受けたのだろうが、インパクトとしては十分あると思う。そのおかげで僕もこの本に関心を持ったのだから。しかし、本文中の見出しには違和感を持った。
「アイスとチョコとジョアにたこ焼き!“おなかが痛くなるから一緒に食べるな”ってばあちゃんに怒られそうだよ」
「スイートポテトは町田ではおかずですか?」
「放課後の阿波踊りの練習は休んでいいですか!」
…といった茶化し方は、どうかなぁ…。これを関係者や当事者が見たときにどう思うだろう? 重要な問題提起なのだから、ふざけないで真正面に取り上げればいいのに…とちょっと残念に思った。