ダンボールハウス/長嶋 千聡
ダンボールハウス
ポプラ社 2005-09 |
街中で、ホームレスたちが作る“ダンボールハウス”をときどき見かける。しかし、なぜか正視してはいけないような気がして、その実態はよく知らない。
この本では、そのダンボールハウスに焦点を当て、なかなか知ることのできない、ダンボールハウスの構造はもちろん建てられた状況や背景などが紹介されている。
イラストを多用し寸法なども記載され、とてもわかりやすい。しかし、そのイラストの陰影が黒くつぶれた感じになってしまい、かなり見づらかったのがとても残念。
著者は、興味本位ではなく純粋に研究対象としてダンボールハウスを調査している。そのために、涙ぐましい努力を積み重ねている。
あくまでダンボールハウスが主役なので、ホームレス問題特有の重さはほとんどない。
もちろん、ダンボールハウス特有の劣悪な環境下で暮らしている話を聞けば、苦労や大変さなどは伝わってくるし、決して楽しい話ばかりではない。しかし、ここにはそれぞれの“人としての”個性があり、人間性が垣間見えてくる。ホームレスとしてひとくくりで見るのはちょっと違うなと思えてくる。
さらに、もはや、彼らのことを“ホームレス”とは呼べないんじゃないか?とも思えてくる。
あくまで、ダンボールハウスの住民であって、決してホーム“レス”ではないのだ。