2819 209系と僕

鉄道

2年前に初めて見かけたE233系があっという間にその勢力を拡大し、いまでは京浜東北線で見かける電車のほとんどがE233系になってしまった。

時間をもてあましていた大学生の僕は、登場したばかりの209系を大宮駅まで見に行ったことがある。

いまではもう見られなくなってしまった、当時、京浜東北線には103系電車ばかり走っていた。大宮駅のプラットホームで、最新鋭の新型電車209系(当時は901系)が来るのを待った。

もう運用を始めているというのは知っていたが、いつやってくるかわからず、ただひたすら待った。1時間近く待って、ようやくやってきた電車は、これまでとは全く違う“割り切り感”に、けっこうな衝撃を覚えたのを記憶している。

開閉できない巨大な1枚窓や、その窓になんと遮光幕がないとか、座席の下に空間があるとか、ドアの上にLEDで案内表示があるとか…いまでは当たり前になったが、いずれも初めて見たものばかりだった。

ただ全体的にはかなり“軽い”印象…物理的にも軽くできているのだけれど…で、同時に、“つまらなさ”も感じた。その“つまらなさ”が、まさか、その後の鉄道車両の礎になるとは思いもよらなかった。いや、これは僕の見識の甘さだろう。

その209系が、明日で完全にこれまで走っていた209系を置き換えてしまうというニュースは、サイトかなにかで知った。

今日、たまたま川口まで用事があって京浜東北線に乗ろうとしたら、なんと、その209系がやってきたのだ。

惜別ヘッドマークを付けた最後の209系。

まるで、登場時に大宮駅で僕を待たせてしまったお詫びにも思えるくらいのタイミングの良さ。

なにか縁みたいなものを感じずにはいられない。さようなら、209系。

それにしても、鉄道オタファンの多さにビックリ。知らずに乗ってきた人たちが、何ごとかと訝しく見ていたのが印象的だった。

「なくなってしまう」と思うと、急に愛おしくなるのは、人でも電車でも同じなのかも。

Posted by ろん