2773 落とし物に思いを馳せる
ふだん落とし物を見かけても、ちらっと見かける程度で済ませてしまうものだし、それがどんなものだったなんてことも、忘れてしまう。
しかし、元の持ち主が想像できると、落とし物に対する関心は否応なく高くなる。
真冬。
実家の近くを走る国道の脇に、雪の塊が落ちていることがあった。おそらく長距離トラックが屋根や荷台の上に載せたままここまでやって来たのだろう。国道と接続する高速道路のインターチェンジの位置を考えると、これは新潟県の雪だと想像できた。そんな推理が楽しかった・
急にそれを思い出したのは、近所の国道に隣接するスーパーの前に、こんな落とし物があったからだ。
大洗…つまり、どんな車かトラックかはわからないが、フェリーで北海道の苫小牧から来たことを意味するわけで、この落とし物は、はるばる北海道から来たということになる。
なんだかそれだけで、ただの落とし物でなくなってくるような、そんな気がするのだ。