2757 中銀カプセルタワービル初訪問!
初めてカプセルタワービルを見たときの衝撃はいまでも忘れていない。それから何度か記事にも取り上げ(1・2・3)てきた。
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そして、ずっと、「このカプセルの中に入ってみたい」という思いは、つねに持ち続けてきた。しかし、当然ながら、マンション住人との接点などなく、ときおり外から眺めることしかできなかった。
しかし、今日、この夢が叶うときがやって来たのだ。
無意識にリンクをたどっているうちに、週末だけこのカプセルタワービルで過ごしているというナカプーさんのブログ「中銀カプセルタワー応援団」を見つけたのだ。もう、これは運命だったのかもしれない。すぐに連絡を取って、お邪魔させてもらう許可をいただいたのだ。
珍しい休日出勤のあと、カプセルタワービルにやってきた。
ナカプーさんが迎えてくださった。
さっそく中に入る。
狭い!
とにかく狭かった。広させいぜい4畳半程度。部屋の造りとしては、玄関という概念がないようで、もともとは、靴のまま部屋の中に入るようになっていた。ホテルの感覚に近いか。入口で靴を脱いで、椅子に腰を下ろす。
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ナカプーさんのお部屋は、1階のサンプルとして置かれているカプセルとほぼ同じで、テーブルや収納など、竣工時からある備え付けの什器が、ほとんどそのまま残っている。多くのカプセルが、改造された中で、ここまで綺麗に残っているのは珍しいという。
入口近くにあった、流し台も、使わないときは収納できるようになっている。実に、機能的ではあるけど、実用的かというと微妙な感じ。洗面台で代用できるため、いまでは靴置き場となっている。
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部屋の狭さをカバーすべく、ベッドの下には、連結式?の引き出しが備え付けられていた。2つの引き出しが、ロープでつながっていて、引っ張り出したら、それを重ねることもできるという。これはかなり実用的。
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ちゃんねるを回すタイプの古いテレビも、いまだに使えるのかと驚いたが、古いテレビから枠だけを残し、新しいテレビの前にはめているだけだった。でも、こういう“遊び”は大好きだ。
備え付けのテーブルを使うと、さらに部屋は狭くなる。
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特徴的な円窓を見る。窓は開かないが、二重窓になっていて手前の窓ガラスは手前に開けることができる。もともとはこの中にカーテンが納められていたという。今回は、ダミーを入れてもらう。
ベットで横にさせてもらって、外眺めてみる。
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首都高速を走る車の光の帯、漆黒の浜離宮、その先にはレインボーブリッジなどが見えた。部屋を暗くして、音楽を流してもらうと、時間を忘れるようだった。眺める気分は最高だ。
これまで、下から見上げることしかできなかったが、今日は上から眺めることができたのだ!
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しばらくすると、ナカプーさんが、他の住人の皆さんを呼んでくださった。
皆この建物をこよなく愛する人たちだ。カプセルタワービルに対する熱い思いを語ると、必然的にそれぞれの生活スタイルが垣間見えて、とても興味深い。
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この素晴らしい機会を設けてくださったナカプーさんとフクプーさんはもちろん、森林鉄道や廃墟好き、超シンプル生活のA棟住人さん、万博好きで、おしゃれな雰囲気のカプセルに住むたきさん、みなさん僕の琴線に触れる何かを持つ、個性的で、楽しい方々ばかり。
当然、初対面の皆さんばかりなのに、僕だけかもしれないけど、旧知の仲のように、いろいろとおしゃべりさせてもらって、最高に楽しかった。
話題にも挙がっていたが、隣近所で声を掛け合って、こうして集まってご近所付き合いがあるというのも、珍しい。
限られた空間だし、築年数も経っていて、決して綺麗ではないのは事実。でも、みんな自分の住んでいる建物に対して愛着があるという点で共通している。さまざまな制約の中で過ごすと、連帯感も生まれてくるのかもしれない。
銀座に住所がある、まさに一等地に建つ、古いマンション…そこに住む、個性的な住民たちのご近所付き合い…まるで、ドラマの一シーンに紛れ込んだ錯覚すら覚えた。
おそらく、念願の建物に入ることができて、気分が異常に高揚していたのだろう。あまりに興奮しすぎたせいか、いくつもの大事なことを忘れてしまっていた。
- 公開できる写真をほとんど撮っていなかった(部屋全体写真がないとか)
- そういえば、夕食を食べていなかった
- 仕事で掛かってきていた携帯電話をしばらく受けそびれた
いつのまにか、この狭さが心地よくなっていた。ここにいる誰もが感じるのだろうけど、この狭さが心地いいのだ。限られた空間で、どう過ごすか?
話の中で、“秘密基地”という言葉が出てきたが、まさにそれだった。ここは“大人の秘密基地”だった。
本当にお世話になりました。厚かましくも、また、そう遠くない将来に、必ずお世話になります。このときは、あらためて、もうちょっと室内の写真を撮らせてください。
※その後、このときの模様を載せていただきました。ありがとうございました。→こちら