2696 苛つく瞬間

日常生活

混雑している新宿駅
車内から混雑するホームを見る

混雑した電車。

駅について乗り降りする人たちが錯綜している状況で、三十歳代の男が、携帯電話を必死に見ている。多少は人の流れを感じて、邪魔にならないように配慮しているようだが、携帯電話に意識が取られているから、どうしても一歩、タイミングが遅れるのだ。

そうなると、乗ってくる人たちの流れに抗しきれず、その男にぶつかりそうになったり、実際にぶつかってしまう。僕も、別にそんな男と接触したいわけではないので、何とか踏ん張ろうとしても、押される力は大きいため、結果的にぶつかってしまうのだ。

「なんで僕がぶつからないようにするために苦労しなきゃらならないんだ?」「そこまでして携帯電話をのぞき込む理由はなんだ?」と、かなり苛ついてしまう。

次の瞬間、ぶつからないように配慮してた自分の身体を、むしろ押してくる人たちの力に身を任せることにした。僕や他の人たちに押され、携帯電話男は、身体をよじりながら車内の奥へと押し込まれていった。

それでいい。

混雑した電車というのはそういうものだ。

Posted by ろん