矢印の力(ペーパーバック)

■芸術・デザイン,龍的図書館

4846526550 矢印の力―その先にあるモノへの誘導 (ワールド・ムック 655 ビジュアルIDシリーズ 4)
ワールドフォトプレス 2007-05

by G-Tools

指を指した方向を見る…何気ないこの行動は、実は人間だけができる特殊な能力なのだという。たしかに、人は、さし示された方向を見るのであって、さしている手を見るわけではない。

去年見た飛行機のような矢印のような雲
飛行機雲?矢印雲?

そして、その指さしが矢印という記号となっていく。

矢印ってよく考えると不思議な記号だ。世界中の誰もが知ってるし、その意味を理解できる。

実際、ちょっと見渡せば、世の中は矢印だらけ。矢印に囲まれて生活をしているとすら言えるかもしれない。

そんな矢印に、とことんこだわったのが、この本。
前半は、矢印の歴史や意味などを詳細に解説し、後半は世界中のあらゆる矢印を集めた写真集になっている。前半後半といっても、実は前半は30ページ足らずで残りはすべて“矢印写真集”だ。

もともとは、さし示す意味しかなかったものが、活躍の場が広がり、矢印自体に意味を持つようになったという指摘は、なるほど、おもしろい。

1.動きの向き
 → 例:背もたれの動き

2.物理的な変化
 → 例:値が変化してることを示す

3.ディメンションの提示
 → 例:距離や寸法、時間の幅を示す

4.連結関係を示す
 → 例:図の凡例

5.注意を喚起
 → 例:注目をしてもらう

6.連続性を示す
 → 例:複数の図をつなげる

7.特定の意味を持つ
 → 例:リサイクルマーク

完全に無意識のうちに、上記でも矢印を使ってしまった。この場合は“5”に近いのだろうか?

解説は平易な文章で、図も豊富でとてもわかりやすい。

唯一と言ってもいい難点は、文章が先に進みすぎて、参照する図が2~3ページ後ろにずれてしまっているということ。本文を読んでいるとその図を見るとために、何度も何度もページをめくらなければならないのは、見づらくして仕方がなかった。

あまりにも見慣れすぎている矢印。これからは、ちょっと矢印を見る目がちょっと変わってきそうだ。