2672 奇想の王国 だまし絵展

芸術・デザイン

渋谷のBunkamuraで開催されている「奇想の王国 だまし絵展」に行ってきた。

奇想の王国 だまし絵展

あらゆる芸術は、作者と鑑賞者の対話で成り立っていると思う。どちらか片方だけでは絶対に存在し得ないのが芸術だ。

だまし絵は、そうした“対話”という関係をより明確にする存在だと思う。だます作者と、それを迎え撃つ鑑賞者。対話というより、“作者が鑑賞者に挑戦する”という感じかもしれない。

日本の観光地では、なぜか“トリックアート美術館”みたいな施設が結構ある。そのせいか、だまし絵自体、かなり身近な気がしたし、悪く言えば“安っぽさ”すら感じてしまっていた。

今回おじゃこの発案で行こうということになるまで、だまし絵に、正直あまり興味を感じてなかったのは事実。しかし、事前にいろいろ調べてみたり、実際に展示や解説を見聞きしているうちに、どうやらそれは大きな誤解であることに気付かされた。

ヨーロッパではトロンプルイユと呼ばれ、古今東西でかなり歴史を持ったジャンルであり、さまざまなだまし絵が作られていた奥深い世界であるということを、この展覧会を通じてよくわかった。

額の中から人や物が飛び出しているという“おなじみ”のだまし絵から、日本初展示という「ウェルトゥムヌス(ルドルフ2世)」のような果物や野菜を寄せ集めて作った人物画、ありそうであり得ない世界を作りだしているエッシャーの世界など、かなりボリュームのある展示で楽しめた。

「ウェルトゥムヌス(ルドルフ2世」

絵そのものに、ふだん見る絵とは違ったトリック工夫…つまり“だまし”があって、さらに、作者が、そうした“だまし絵”を作った意図はなんなのか?…なんてことことを考えるのは楽しい。

ふつう、どんなことであろうと“騙されたくない”ものだが、この展覧会での“だまし”は、むしろ心地よさすら感じたのが印象的だった。

入口は結構な行列

昼前くらいに行ったがその段階から会場内は混雑し始め、帰るころには入口付近は、かなりの行列ができていた。

最近行く展覧会では、必ず音声ガイドを借りて鑑賞することにしているが、今回、会場で貸し出される音声ガイドと同じ内容が、ダウンロード販売されているということを知って初めて利用してみることにした。

金額は1台の音声ガイドを借りるのと同じ500円。あとから何度でも聞けるということや、私的にコピーすればおじゃこと僕でそれぞれ聴くこともできるので、お得だ。とても面白い試みで、今後もこうした動きが広まるといいと思う。

Posted by ろん