自殺のコスト/雨宮 処凛

■社会・政治・事件, 龍的図書館

4872336445 自殺のコスト
雨宮 処凛

太田出版 2002-01
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生きているうちに、自殺という究極の選択をごく一瞬でも考えない人は少ないと思う。

実際、毎日その選択をしている人は多数いるという点で、それだけ“身近な”存在だ。

「自殺なんてとんでもない」というのは当然だが、だからといって、まったく無知でいいとは思わない。生きるためにも、自殺の現実を直視することは大切なことだと思う。もちろん、残念ながらその究極の“選択”をしようとする人も。

この本では、あらゆる自殺方法とそのためにかかるコスト、さらに死後のコストや、死にきれず助かった場合のコストを徹底的に検証している。

自殺による死体処理や、残された人たちへの社会保障、ローン、保険等といった自殺に関わる「基本経費編」と、クスリや首吊り、飛び降りといった「手段別経費編」2つの章に分かれ、実際に起きた事例や、裁判の判例なども交え、さまざまなエピソードを紹介している。

生々しい事例としては、生命保険における、契約後経過月別自殺の推移のグラフに軽くショックを受けた。

12ヶ月から13ヶ月後に支払件数が跳ね上がっているのだ。これは、生命保険の自殺による免責期間が1年を過ぎてね自殺する人が大勢いるということを示している。自殺しようと1年間待っている人が大勢いるということがショックだった。

死のうというモチベーション?を持ち続けるすごさ。

どんな薬をどれだけ飲んだら致死量に達するか?という一覧表なども載っている。ご丁寧にも購入価格や商品写真まで。比較的わずかな量から、あまりに非現実的な、数千錠とか、なかには200万錠なんていうのもある。

また自殺は、統計上現れている数の何倍もの未遂がある。本書ではこれらについても詳細に解説する。これは自殺以上に悲惨な状況なのだ。自殺しようとした自分だけでなく、周囲をも巻き込み、まさに生き地獄としかいいようがない。

著者自身の自殺しようとした経験なども交え、ときには軽妙に、ときには冷酷に、自殺についてあらゆる視点で書かれている。

読んでいるうちに、あまりに身近に感じられて、怖くなってくる。はじめ「もしかして自殺幇助の本?」と思ったが、読み終えて考えが変わった。

これでも自殺をしたいと思うだろうか?…と。