昭和30年代モダン観光旅行/長澤 均

■芸術・デザイン, 龍的図書館

4062149753 昭和30年代モダン観光旅行
長澤 均

講談社 2009-02-26
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著者が個人で収集した、昭和30年代の膨大な種類の絵はがきを振り返り、当時の世相を見ながら、日本中を旅する。

いまでも、ちょっとした観光地に行けば、観光地周辺を紹介する“絵はがき”が売られている。でも、実はそれらは“絵”ではなく“写真”はがきだ。

ここで紹介されているのは、もともとは、写真なのだけど脚色や着色するような細工がなされ、現実には存在しない“絵”となったはがきであり、まさに、正真正銘の“絵はがき”になっている。

本書では、当時の状況に関する詳細な解説もあってとても興味深いが、なにより膨大な絵はがきの紹介は、とても見応えがある。

日本を代表する観光地の絵はがきはもちろん、いまでは考えられないモノまでが絵はがきとなっている。

関門海底国道トンネルや、阪神電鉄の初の大型高性能車両が絵はがきになっていたり、飛行機のファーストクラスをとらえた絵はがきでは、なぜか畳の上で靴を履いたままになっていたり…。

昭和30年代といえば、戦争の荒廃から復興し高度経済成長に向けて、日本が勢いづいてきたころだ。旅行も少しずつ、一般化、大衆化してくる。現代から見たら、かなり古めかしく牧歌的だが、そこには当時の憧れも含まれていたようだ。

本書の解説で知ったのだが、各地にあるロープウェイは、1955年から10年間にもっとも多く造られたそうで、まさに昭和30年代の乗り物なのだ。当時の映画でも、なんの脈略もなくロープウェイが登場したように、当時の人々のあこがれであったそうだ。

昭和30年代は、日本中の誰もが憧れがある時代だったのだ。そんな時代をちょっと羨ましく感じた。