2642 無料配布
昨日の朝、会社に向かう途中、ヘリコプターがホバリングしてたので、何か事件があったのかと思ったら、近所の銀座でその“事件”は起きていた。
「モーブッサン」というフランスの宝飾ブランドが、銀座でダイヤモンドの無料配布という前代未聞のイベントを開いていたからだ。
このイベント開催のニュースが伝わるとすぐに、問い合わせが殺到したという。そして、イベント当日の1日には、店の前には、1kmから2kmの長蛇の列ができたというニュースを見た。
“無料配布”自体、たしかに心を動かされる企画であることは間違いない。くれるんだったら僕だって欲しい。
鉢植えとか、なにかの試供品とか、僕も並ぶことはあるが、無料配布というイベント自体、配られる物がなんであろうと、あまりいい光景ではない気がする。並んでいる自分の姿もどこか居心地が悪いのだ。
無料配布とは、それを得るために「お金を失わない」というだけであって、失う物が皆無というわけではないと思う。
今回配られたダイヤモンドは1個5000円しかしないのに、それ以上に交通費を掛けてやってきた人や、配布方法にクレームを入れる人、割り込みをする人…と、お金を失ったり、時間を失ったり、矜持や自尊心失ったり…。
そんな人たちに問いたい。そこまでして手に入れたかった、0.1カラットのダイヤモンドは、はたしてその人に見合うだけの価値があると、本当に言えるのだろうか?