2610 デザイン
先日、東京都のシンボルマークについて触れたばかりだが、そのシンボルマークを使った東京都下水道局の制服につけるワッペンのデザインが、内規に違反するということがわかり、その後作り直ししたため、結果的に3400万円が無駄になったことがわかったというニュース。
もちろん、このお金は税金だし無駄遣いは決してして欲しくない。このニュースに対するコメントも、そうした声は多かった。ただ、それらの意見は、どうも僕の考えているニュアンスと異なる感じだった。そして違和感をもっともよく表していたのは、石原東京都知事のコメントだった。
石原知事は、この問題を報じた読売新聞を掲げながら、作り直す前のデザインについて「東京の下水はきれいだなって感じがするし、いいじゃない」とし、「規格に合わないからと作り直して、バカじゃねえかほんとに」と怒りをあらわにした。
うーん、そうじゃないんだな。
一般のコメントの中にも、「内規を変えればいい」といった意見もあったが、明らかにデザインというものを軽視している。きれいだったらどんなデザインでもいいということになってしまう。
こうしたロゴとかデザインは、厳格に守ることで偽物や紛らわしいデザインを排除できるようになる。その結果、ロゴやデザインを所有する組織への正当性、信頼感を高める効果があると思う。もちろん、ふだんから信頼に足る活動ができているかどうかという別の課題はあるけれど。
そういう点で、統一するから意味があるのであって、決して自由に変えてはいけないのだ。だから、処分されるべきは、作り直そうとした人ではなく、誤ったデザインのまま発注を進めてしまった人なんじゃないかって思う。
※ ちなみにこの件には、ワッペン1枚あたりの単価(1,700円)が高すぎるという別のツッコミどころもある。