2588 失うもの

建築・都市, 物思いに耽る(雑感)

1931年に建てられた東京中央郵便局の建替工事に鳩山総務相が物言いをつけたニュース。かんぽの宿に続く、日本郵政vs鳩山総務相対決の第2ラウンドの様相を呈しているが、ネット上で圧倒的な支持を受けたかんぽの宿の件と比べて、今回は意見は割れている感じがする。

鳩山総務相に対する批判的なコメントが散見されるのだ。Yahoo!ニュースキャッシュではコメントは見られません)でパッと見た限りではこんな感じの意見が…

かんぽの宿は、 鳩山を応援する。
でも、この問題は、日本郵政を応援するぞ!
毎年100億円づつの収入を無視できるほど、重要文化財の価値があるのかな?

工事中止の権限がないのに、鳩山のわがままでの工事中断は間違っている。
あのような一等地を有効活用することが国益にかなうのに、中止を求めることこそ売国行為であり国辱ものだろう。

はぁ?。なんでもかんでも郵政関連に反対すれば、人気が上がると思っているのでしょう。そこまで国民も浅はかではないでしょう。簡保で止めておけば、評価も上がっていたのに・・・。少しは常識で考えてみれば?

かんぽの宿の一件とは、状況が大きく異なるため、両者を比べることはできないかもしれないが、建築に対する世論の一端を見たような気がする。やはり今回もお金が絡んでいるものの、かんぽの宿の場合、売却先とその利益を享受する者が明確で、価値があるはずの国民の財産が失われるということに批判が集まった。

昨年末の東京中央郵便局。人影もなく真っ暗

しかし、今回の場合、再開発が滞りなく行われれば、毎月に10億円以上の賃貸収入を得て、日本郵政の経営に寄与するが、もし中止すれば当然それらが失われるという構図で、前者とは様相が異なる。まるで今回の問題では失うものはない…と言わんばかりだ。

「一等地なんだから再開発して当然」「文化財は利益を生み出さない」という考え方が見え隠れする。本当にそれでいいのだろうか?

先述の意見に一部とはいえ、同調する声がとても多いことに、1930年代の建物に関心を高く持っている僕としては、落胆してしまった。

惜しまれながらも一昨年取り壊されてしまった三信ビル(竣工1929年)を思い出した。経済的な側面も重要だということはわかってはいるけれど、なんとかならないだろうか?

建て替えによって失うものは、建物だけだろうか?

とても美しかった三信ビル

Posted by ろん