2575 加山又造展
国立新美術館で開催されている「加山又造展」のチケットをいただいたので見学に行ってきた。
![]() |
![]() |
そもそも日本画というジャンルそのものがよく分からなかったので、どこか取っつきにくい気がしていたが、彼の作品を見ていくうちに、表現方法の多彩さと奥深さに気が付かされた。そして、その気付きを裏付けるかのような解説を読んで、なるほどと思った。
要約すると…移りゆく四季の自然、花や鳥を同一画面に描く手法は、日本画の世界では伝統的であるけれど、これは現実にはありえない。こうした描写は一般的な見方(西洋的な見方?)からすれば不可解だ…と。
なるほど、たしかに、これまで見てきた日本画と呼ばれる絵は、写実的ではなかったし、あまり遠近感が感じられず、西洋の絵とはまったく違った印象を受けた。それに対して、加山又造は次のように言ったという。
小さな画面を通して、そこには私たちの住む世界のあらゆる制限をこえた宇宙でなければならない
![]() |
ありのままを写し出すだけが“絵”ではない。“絵”だからこそ創り出せる世界があると言っているのかもしれない。そういう目で作品を見てみると、どうしたら自分の“思い”を表現できるかを模索し続けてきたように思えた。
どの作品でも共通して感じたのは、それはまるで“まったく音のしない夢”を見ているようだった…ということだった。絵は全体として抽象的なのに、はっきりと見ているような…写実的?とでも言おうか?
「冬」や「夜桜」などが特に印象的でよかった。僕にとって、日本画というジャンルをあらためて見直す良いきっかけになった気がする。