2549 セロテープアート展

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小学生のころ、工作が好きで、いろんなものを作っていた。そのときに絶対に欠かせなかったのが、セロハンテープ。これが大好きだった。セロハンテープは、すぐにくっついて、糊のように待たなくていい。貼ったあともきれい。

小学生のころ、数十リットルサイズの大きなゴミ袋を何枚か広げて、それらをセロハンテープでつなぎ合わせて袋状にして、熱気球を作ったことがある。数メートルの大きさになったが、結果は失敗。完成した熱気球が重すぎて浮かせることができなかったのだ。セロハンテープの限界を感じ始めたのは、ちょうどそのころで、時期を合わせるように、工作らしい工作はしなくなったような気もする。

話が最初からそれた。

先日、たまたま「セロテープアート展」という展覧会をやっているというのを知った。その名の通りセロテープを使って、さまざまな芸術作品を制作しているというのだ。作者は瀬畑亮さん。

会場は、西武池袋線中村橋駅近くの練馬区立美術館。

練馬区立美術館 セロテープアート展

赤ちゃんや犬のようなわかりやすいものから、抽象的な不思議な形をした作品が並ぶ。大きさも20~30cm程度のものから、2mを越えるような巨大な作品までさまざまだ。重さも100kgを越えるものもある。そのどれもが、主にセロテープだけを使って作られているというから驚きだ。

ギャラリートークで瀬畑さんの興味深い話を聞くことができた。彼の右手は作品作りのせいで腱鞘炎になってしまったそうで、手に包帯を巻いていた。それほど大変な作業なのだ。

瀬畑さんは、NHK教育テレビで放送されていた「できるかな」で、ノッポさんが使っていたセロハンテープを見て、粘土と違ってそのまま形になるという特性に感動したのをきっかけに、セロハンテープで作品を作り始めたのだという。なるほど、瀬畑さんは、セロハンテープを作品の素材として着目したのだ。僕だって同じように「できるかな」を見ていたし、工作でたくさんのセロハンテープを使っていたのに、思いつきもしなかった。

ひととおり話が終わると、話を聞いている人全員に1人3本のセロテープが配られ、実際にセロテープアートの一部を体験させてもらう。ふだんなら、必要な分だけ切り取るセロテープを、今日ばかりは、思い切って引っ張ることができる。ちょっとしたストレス解消法みたいだ。それをぐるぐると巻いて、強く締めつけながら球状にしていく。瀬畑さんはこれを“巻き締める”と言っていた。

セロテープ玉

球状にすることは、それほど難しいことではないが、これを目的の形に仕上げていくというのは、とても難しい。とりあえず、セロテープの玉を1つ作ってみたが、もらったセロテープがまだあまってるので、この年末年始で、作品を作ってみたいと思う。

彼の創作活動は、セロハンテープ最大手ニチバン株式会社がバックアップしていて、展覧会の一角には、セロテープの歴史を振り返るコーナーが設けられている。

…ということで、実はここまで、セロハンテープとセロテープをあえて使い分けて書いてみた。ニチバンが製造販売しているセロハンテープは、セロテープであり、ニチバンがバックアップしている彼の作品は、「セロハンテープアート」ではなく、あくまで「セロテープアート」なのだ。ここはかなり厳密な違いがあって、今回の展覧会では、すべて“セロテープアート”と呼ばれている。だから、作者を交えたギャラリートークの際、学芸員が何度も「セロハンテープ」と言ってから、「失礼しました、セロテープ…」と言い直していたのが印象的だった。

そもそも、ここ練馬区立美術館が、実はセロテープを初めて製造したニチバン東京工場のあった場所に建っているという縁があり、さらに今年が1948年にセロテープが発売されて、今年で60周年という記念すべき節目の年ということも重なっている。だから、ちょっと著作権の主張が過ぎる感じはするけど、ニチバンの存在は欠かすことはできないのだ。

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西武池袋線中村橋駅

練馬区立美術館の最寄り駅、中村橋。

駅前から美術館までの道路には、ちょっと古めかしい街路灯が並んでいる。

ちょっと古めかしい街路灯 カーネギー社製レール

アメリカ、フランス、ドイツなどの旗を見かけた

これらは、いずれも古いレールを使用していて、いつどこの国で作られたかといった説明板があって、鉄道ファンならずとも、ちょっと気になる。

Posted by ろん