2541 日常の光景

物思いに耽る(雑感)

賞を受けたり、何かの取材を受けると、その人の略歴を振り返りつつ、その人にまつわる写真が紹介されることがある。そんな写真からは、その人の普段の仕事ぶりとか、日常の光景、生活が垣間見える。

で、ふと自分の場合を考える。

そういえば僕の日常の光景ってないなぁ…と。もっとも、そんな心配をするような取材を受けることなどないんだけれど、僕自身の、ごく日常の生活に関する写真はまったくないことに気づく。

ふつうに仕事しているときのような写真とか、ふだんの生活をしているようなときの写真って、あまり撮るようなことはないと思うのだけど、一般的にはどうなんだろう。

そもそも、自分が被写体になることをあまり好まないということもあって、ますます写真に残らないのかもしれない。

写真と言えば、普段からデジカメを持ち歩いて、“気になる光景”を写真に収めている。

逆に言えば、気にならなければ、写真を撮ろうとはしない。「気にならない」は、すなわち「日常の光景」は、結局写真に残ることはない。

ときどき、見慣れた建物(いや正確に言えば意識していなかった建物)が取り壊されて更地になったときに初めて「あれ、ここに何があったっけ?」と気が付くことは多い。これも日常が非日常になった瞬間であり、新しい日常の始まりと言える。昨日までの日常は非日常となる。もう被写体としての非日常の光景を撮ることは絶対にできないのだ。

非日常ばかりに気を取られていると、大事な日常を見落としてしまっていることもありそうだ。

Posted by ろん