2467 銀座の街並みの秘密

建築・都市

フレックスタイムを利用して、今朝も寄り道をしてみることにした。

行き先は銀座。

数寄屋橋交番の屋根に載っている虫ピンのようなオブジェ。
この交番の設計時の模型が作られた際、風見鶏のような何らかのきちんとしたオブジェを取り付ける前提で、暫定的に取り付けた虫ピンが、そのまま本物の交番にも取り付けられてしまったというエピソード。意外と知られていているみたい。

超合法建築図鑑 (建築文化シナジー)

いま、図書館から借りている「超合法建築図鑑」では、建築基準法や条例にしたがった結果、形作られた風景を事細かに解説している。建物の形には、法律に基づいたきちんと理由があるのだ。

銀座の街を歩いていたら、その本で紹介された光景と同じ場所に出くわして、すっかり嬉しくなってしまった。


整然とした街並み(和光は改修工事中)

かつて日本では、建築基準法で定められた、31m以上の高さのある建物を建てることはできなかった。1962年建築基準法が改定され、31mという高さ制限が撤廃されたことで、霞ヶ関ビルを筆頭に、その後さまざまな超高層ビルが建てられるようになった。

銀座では、戦後復興で建てられたビルが多かったため、31mという高さが長らく保たれることとなり、独特な街並みが形成されていた。

しかし老朽化が進み再開発の声が聞こえてくるようになると、これまでの街並みが破壊されるおそれが出てきた。そこで「銀座ルール」という取り決めがなされ、高さは最大56mにまで、容積率も最大1100%とすることになった。このおかげで超高層ビルが乱立するような最悪の事態は避けられることとなった。


点線より上が新しい基準の高さ

点線より上は、ビルではなく実は看板

そしていま、31mから、56mという基準まで徐々に移行している途中ということになる。ビルの高さに差があるのは、そうした理由があるからということが、目の前のビルを見ながら納得する。


全面は見事にカモフラージュされてるが…

東京都屋外広告物条例では、広告は建築物の高さに含めないと規定されているそうで、そういう目で見てみると、何気なく見ていた銀座の街が、とても興味深く見えてくる。

「見た目は建物なのに実は看板」というビルを見つけた。おそらく31mという基準で建てられたビルに、建物のような広告を設置することで、エレベーターの機械室や換気塔・冷却塔などの塔屋を隠すとともに、ビルを大きく見せることができるようになっているのだ。

建物としてではなくあくまで広告の一種という扱いだからこそ、こうした風景ができあがるのだ。

なんておもしろいんだろう。…わずか30分足らずの出来事だったが、朝から大興奮だった。

Posted by ろん