奇想遺産~世界のふしぎ建築物語/鈴木 博之ほか

■建築・都市,龍的図書館

4103055316 奇想遺産―世界のふしぎ建築物語
鈴木 博之/藤森 照信/隈 研吾/松葉 一清/山盛 英司

新潮社 2007-09-25
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朝日新聞で毎週土曜日、世界中の独特な建築物を「奇想遺産」として1件ずつ紹介している連載がある。本書はその連載から、選ばれた77の物件が載っている。

太陽の塔や通天閣(いずれも大阪)をはじめ、会津さざえ堂(福島)など僕が実際に訪れたことのある建物は、ちょっとした懐かしさを感じ、初めて見る、柱がまるで森のようになっているジョンソンワックス本社(アメリカ・ウィスコンシン)や、実に総延長1kmにもおよび城壁にも似たカール・マルクス・ホフ(オーストリア・ウィーン)といった建物にびっくりする。ページをめくるたび、新鮮な驚きがあるのが楽しい。

清水寺を思わせる舞台が四方にある笠森観音(千葉)などは、うちからでも日帰りで十分行けるような場所にあるにもかかわらず、こんな建物があったとは、この本を見るまで知らなかった。

その建物の建った経緯や背景などの解説も堅苦しくなくわかりやすく読みやすい文なので、すらすらと読めた。

いろいろ楽しませてくれたのはよかったが、変わった建物を紹介するのに、たった2枚~3枚の写真しか載っていないのは物足りなさ過ぎる。新聞の連載では紙面の都合で掲載できなかったとしても、せっかく単行本になったんだから、もう何枚か特徴ある写真を載せてくれてもいいだろうに。それだけが惜しい。

あと疑問だったのは、朝日新聞に連載されていたのに、この本の出版社は、なぜか新潮社であるということだ。