2394 e-Taxに悪戦苦闘

社会・政治・事件

確定申告の季節。
テレビCMやポスターには女優の池脇千鶴が、電子納税のe-Taxは簡単で便利みたいなことを盛んに告知している。

 

でも、サイトをちょっと見た限りでは「かなり難しそう」という印象を持ったので、これ以上深入りするつもりはなかった。しかし、この難関に挑戦して困っていたのが、他ならぬ父だった…ということで、様子を見に行ってきた。

わざわざ税務署に足を運ばなくても、自宅のパソコンから確定申告が完了できれば、確かに便利だろう。まぁ難しそうには思えるけど、きちんと説明どおりに進めていけば確定申告は簡単に終わるんじゃないかなと思っていた。単に“食わず嫌い”かもしれない…なんて気がしていた。

しかし、実際に申請をはじめてみると、それが幻想に過ぎなかったということを体感することになる。

トップページや一部の紹介ページは、明るい色調でとっつきやすそうな雰囲気だが、「詳しくはこちら」を見ると、とたんに難しくなってしまう。難しいポイントをざっと挙げてると…

まず、どう進めていったらいいかわかりにくく迷う

サイトのサイドメニューをたどっていくと、「e-Taxソフト」というソフトウェアを使った申告の仕方が書かれている一方で、トップページには「確定申告書等作成コーナー」を利用することもできるとなっていて、初めて利用する人は、どちらを使った方がいいのか迷う。
パソコンの知識が要求される

オンラインでらくらく…とたどっていった先に出てくる下記の文章を言葉を理解できない人は脱落するだろう。そもそも拡張子という単語でつまずく人も少なくないはずだ。

e-Taxによる申告を行う場合には、電子申告用データ(拡張子「.xtx」)が必要となりますので、「電子申告用データの作成及び保存方法」を参考にあらかじめデータを作成してください。

他にも、別の拡張子.xmlや、.dataも登場する。
結局何の作業をしているのかわからない、言葉の意味がわからない

らくらく…のはずなのに、いまやってる作業がどういう目的で行われているのかが理解しにくいせいで、不可解さの度合いは増すし、どんどん混乱してくる。普通の人たちが、こうした言葉をすんなりと理解できるだろうか?

「添付書類データの結合」、「ルート証明書」、「電子署名」、「公的個人認証サービスに基づく電子証明書」

電子証明書を取得するということになっている。e-Taxではこれを取得するのが前提となっているが、国税庁の管轄ではないために詳しい説明はなく、「公的個人認証サービスポータルサイト」のリンクがはってあるだけだ。しかもこの「公的個人認証サービスポータルサイト」も驚くほどわかりにくい。どうしてe-Taxから来る人のための配慮がなされていないのだろう? どうして「よくある質問」の一番目立つところに、1年も2年も前の変更内容を掲げておく必要があるのだろうか?

全体を通して言えることは、このサイトを作っている側が、利用者の状況をまったく理解していないのではないかと思えることだ。税金やパソコンの詳しい人ばかりがこのサイトを見るわけではない。「手続きの流れ」から各人が必要な項目を見つけて枝分かれしていくのではなく、一番最初の段階で、「何の手続きをしたいのか」によって、参照するページを分けておくべきなのだ。

たとえば単に医療費控除だけの確定申告をしたい人には、このサイトのほとんどが読む必要のないページだ。本当に読まなければならないところを厳選して見せればよいのに、余計な選択肢やリンクだらけになって、やらなければならないことがわかりにくくなっている。

とりあえず、今回は悪戦苦闘の結果、なんとか無事に確定申告は完了した。ただ、どうしてうまくできたのかあまりよくわからず、なんとも達成感のない幕切れだった。来年もうまくできるか正直言って自信がない。来年は、もうちょっとサイトやシステムが改善されることを切に希望している。

こんなにややこしいサイトを見たのは、板橋区役所のサイト以来かも。一般よりパソコンに詳しいと自負している僕にとっては、まさに屈辱にも似た状況であった。

Posted by ろん