2391 早春の東伊豆(後編)/つるし雛と遙かなる河津桜
今回こちらに来ることになって初めて、雛のつるし飾り(つるし雛)という風習があるのを知った。
江戸時代、高価な雛人形を買えない家庭で、せめてお雛様の代わりにという親心から生まれたのが雛のつるし飾りとのこと。昔からそんな風習があったんだっけ?…と思っていたが、平成10年に稲取温泉旅館共同組合が復活させたのだという。
街中至るところで、雛のつるし飾りが展示即売されていた。
「雛のつるし飾りまつり」というイベントは1月20日~3月31日までの開かれていて、稲取温泉街で2つのメイン会場といくつかの協賛会場で開催されているのは、現地について初めて知った。このことがのちに大きな問題を引き起こすことになる。
雛の館 |
ギネスに挑戦? |
メイン会場のひとつ「文化公園雛の館」は、伊豆稲取駅からぶらぶら歩いて十数分くらいのところにあった。入館料200円は、旅行代金に含まれているので、“会員証”を見せると入館できる。
数え切れないくらいのつるし雛の光景は、とても幻想的だった。うさぎ、俵ねずみ、座布団…それぞれにいわれがある。そのひとつひとつの人形に込められた思いを馳せながら眺めてみる。
「海外からの模造品や類似品が出回っております」という告知が至るところでされていた。
確かに模造品を大量に作られそうな商品ではあるし、実際、古来からありそうなつるし飾りとは無関係な、小さな虎のぬいぐるみみたいなものがつるされたようなものもあった。どうもここでも中国製が幅をきかせているらしい。
こうした模造品が出てくるのは、正規の手作りの商品が結構いい値段するからだろう。1個で雛のつるし飾りが20数個で数万円もする。日本での“手作り”とはそういうものなのだ。
僕の考えていた計画では、伊豆バイオパークに行ったあと、雛のつるし飾りまつりをちょっとだけ見て、早めに河津桜まつりに行くことにしていた。しかし、おじゃこは、メイン会場をはじめ、他の協賛会場も含めてすべて見るつもりだったようで、結果的に稲取を出発する時間がかなり遅くなってしまった。
伊豆稲取駅から河津駅までは、伊豆急行線の普通列車で6分程度だが、強風のため、全体的に電車が遅れ気味だった。数分遅れてやってきたのは、先日、東急東横線から引退した8000系電車だった。車内は片側半分がクロスシート(ボックスシート)になっている。
河津駅は大混雑 |
河津駅の改札口は、人でごった返していた。東京からの特急列車が強風のため遅れてしまい、折り返す下りの特急列車も遅れているため、河津を出発できない人たちが、列車の到着を待っているようだった。
なんとか河津に着いたものの、乗る予定になっている特急踊り子118号東京行きの出発まであと1時間しかなかった。
駅から川に向かっての道沿いと、川沿いに、河津桜が咲いている。まだ5分咲き程度ではあったが、見慣れたソメイヨシノと違って、花の色がとても濃いために、なんとなく花に力強さみたいなものを感じた。
写真で撮ると逆光になるため、うまく写らないのが残念だった。
そして最も残念だったのが、最後の最後で、おじゃこと旅行の方針を巡って対立したことだった。結局、ほとんど河津桜を見ることなく、数枚の写真を撮っただけで、駅に戻ってきた。
相変わらず駅舎内はごった返していた。当然遅れを引きずっているかと思ったら、ほぼ定刻通りにやってきた。
帰りの特急も、指定席は満席だったが、予約時になんとか指定席は確保できたので、ゆっくり座って帰ることができた。ただ停車駅が多いせいもあってか、行きと比べて所要時間がやけに長い。行きの特急(下り)は、東京から河津までは2時間31分なのに対し、上りは2時間47分となっていた。気のせいではなかった。
東京駅に到着したのは、20時ちょうど。
【反省】
旅行内容を考えるとき、そもそも、他人から見たらきっとびっくりするくらい計画を欲張りすぎている。つまり最初からかなり無理が出ているということに気付かなくてはならない。余裕がないためちょっとしたトラブルにも対応できず、つまらないことで対立する羽目に。
今回反省すべきこと、学んだことを思いつくまま挙げてみる。
- ※ 最低限外したくない場所や行動をできるだけ明確にし、優先順位を決めること
- →計画していた移動や見学のペースが崩される恐れあり
- ※ 指定席等の予約は早めに。取れなかった場合は、できるだけ早く始発駅に赴く
- →「座れない」かもしれないという思いは、できるだけ排除。
- ※ 時間がなくなったときには潔く優先順位下位より絞ること
- →いわゆる「虻蜂取らず」となってロスが増えてしまう
- ※ 同行者の意見を曖昧にせずきちんと聞くこと
- →無用なトラブルを防ぐことができる
こうしてみると当たり前のことばかりのようだが、やっぱりこれらができていないのだ。今回の反省を次回に生かそう。