左右の安全/アーサー・ビナード
左右の安全 アーサー・ビナード 集英社 2007-10 |
何をきっかけにこの本を手にしたのかはよくわからないが、図書館から突然「予約資料の用意ができました」という連絡があって、読むことになった。
著者のアーサー・ビナードはアメリカミシガン州生まれの生粋のアメリカ人。そんな彼の操る詩は、日本人以上に繊細に見える。独特の着眼点も興味深い。計40編の詩を収録。
本書のタイトルになった「左右の安全」とは、男性ならば誰もが考えるアノ位置の話。「あーアメリカ人でも同じようなこと考えるのか」とちょっと不思議な気分になった。
血液型を知らないというだけで驚かれたという話や、外国人だからといってあからさまにイヤな顔をする人など、外国人ならではの視点は新鮮だった。なかでも、「万人のバースデー」は、数え年について書かれたものだ。トラディショナル・ジャパニーズ・バースデー。なるほど、正月に日本では全員が1つ年を取るというのは、まさに万人のバースデーなのだ。先日気になっていた、正月に誰もが「おめでとう」と言い合うのはそういう意味もあったのかもしれない。
池袋や王子、湘南新宿ラインといったとても身近な場所や鉄道が登場するので、妙に親近感を覚えた。