2360 心の闇

社会・政治・事件

青森県八戸市で発生した母子3人放火殺人事件。犯人は18歳の長男だった。
当然、マスコミはこぞって、このニュースを取り上げた。朝のニュース番組では、CMに入る前に、

「18歳の心の闇に迫ります」

なんて、もっともらしいことを言っている。本心は、CMを挟んでも続けてみてくれるよう、視聴者に訴えているにすぎない。こういった事件が起きるたびに、テレビはこれまでに何度も、心の闇に迫ってきた。そこから何か学ぶことができたかだろうか?

“心の闇”…この言葉をテレビで聞くと、ものすごく白々しい気がしてくる。

人を殺したいと思う経験をしたことがある人は決して少なくないと思う。殺そうとまでは思わなかったとしても、人には決して言えない恨みや憎しみなどを持つことは誰にでもあることだと思う。もし、これを“心の闇”と呼ぶならば、誰もが心の闇があるわけで、実際に殺人を犯すかどうか、まったく別の問題だ。

どうすれば事件は防げたのかという観点で事件を知ることは大事だとは思うが、テレビで取り上げるとき、そこまで深く検証しているかというと、やはり疑問。限られた時間の中で難しいということはあったとしても、CMを挟んで視聴者を引っ張るような見せ方をしている様子からは、こうした事件を真剣に検証しようという気は、さらさらないんじゃないかと思えてくる。

なぜ、テレビを始めマスコミでこうした事件を取り上げるのかという原点を、関係者のみなさんに考えてみてもらいたいと思った。

最後に…。

ただ、今回の青森の事件に限って言えば、これまでの事件の報道のされ方が、どこか微妙に違うような気もしている。事件が起きた直後は、先述のように、これまでの家族内での殺人事件と同様「心の闇」という言葉を安易に使いながらの報道だったが、その後はどこか取り上げ方が“鈍い”気がする。伝わってくる情報量がとても少ないのだ。インターネットのニュースサイトでも、特にこれといった特集ページを設けるわけではなく、事件の続報を他のニュースと一緒に載っているに過ぎない。もしかすると、報道のされ方に変化が出てくる兆しなのかもしれない。しばらく注目していこうと思う。

Posted by ろん