2321 大事なプロセス
駅前で小冊子のようなパンフレットをもらった。
目次には“勝負する今宵のレストランガイド”とか、“大人のためのこだわりイベント体験”といった見出し。「こだわりのワイン選び」とか「匠の技が効いた本物の品々…」といった言葉が並ぶ。
これは、こうした情報を提供してくれる会員制サイトの宣伝用パンフレットだった。サイトについて紹介するページには、このようなことが書かれていた。
ある程度自分の為に使えるお金に余裕があるが、定番化した退屈な時間を過ごす、忙しい30代の男性。男性は皆、人生をもっと刺激的に楽しく過ごしたいという想いがあります。また、同年代でそれを実現している男性の過ごし方や、考え方、遊び方を知りたいと思ったこともあるのではないでしょうか。
当サイトは、そんな男性に「より知的に」「より楽しく」を提供する会員制サイトです。
確かにとても便利だ。そういった情報が手軽に入手できるのならば、月々の会費も苦にならない…という人もいるだろう。
でも、ちょっと腑に落ちない気がしてならないのは、僕の天の邪鬼な一面が、そう思わせているのかもしれない。
共感できる部分がないとは言えないのだけど、あまりに手軽すぎではないかと思えてしまう。
人から聞いたり本で調べたり…インターネットだって、無数のサイトの中から、一生懸命探して見つけ出すのもいい。こういった情報は、探し当てるという行為自体が、本当は大事なプロセスのように思う。
大切な人との食事のために、どこか素敵なレストランを予約しようとするとき。
かつては、あちこちの情報源を当たって電話で予約しまくるくらいしか方法がなかった。それと会費を払った特別な会員が手軽に予約することと同等とは思えない。
大切な人へのプレゼントをしようとするとき。
あちこちのお店を歩き回って探すことと、会員制サイトで“こだわりの逸品”を手軽に手に入れることと同等とは思えない。
確かに結果は同じことになるかもしれないが、あまりに便利なサイトは、そうした相手を想いながら探すという大事なプロセスを止めてしまう気がしてしまう。
でも…。
僕の場合、そういえば最近、そんな大事なプロセスが、そもそも止まっていたような気がする。反省。