広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由/スティーヴン ウェッブ Stephen Webb 松浦 俊輔
広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由―フェルミのパラドックス スティーヴン ウェッブ Stephen Webb 松浦 俊輔 青土社 2004-06 |
宇宙人が地球を攻めてくる…かつて、そんな小説や映画などがあった。
もうずいぶん前だが、矢追純一の番組で宇宙人が取り上げられるとたいていの場合とても怖い存在として描かれていたから、本当に宇宙人がいたら怖いと幼心に思ったものだ。
しかし、これまで、宇宙人どころか生命の痕跡すら、地球以外では全く見つかっていない。
これだけ広い宇宙で、地球以外に生命が存在しないのはおかしいと思うのは自然のことだ。見つかっても良さそうなのに見つからないというパラドックス(矛盾)を呈した物理学者エンリコ・フェルミに由来して、これを「フェルミのパラドックス」と言う。
本書は、なぜ宇宙人が見つからない50の説を取り上げ、それらを丁寧に解説していく。ちょっと難解な部分はあるが、おおむね読みやすい。なかにはバカバカしいとすら思えるような説なども出てくるが、なにせ証拠がない以上しっかりと取り上げる必要があるのだ。
50の理由の中から、気になった仮説をいくつか挙げてみる。
- 彼らはもう来ていて、ハンガリー人だと名乗っている
- 彼らは来ていてここにいる われわれはみんなエイリアンだ
- 動物園シナリオ (地球人は宇宙人にとって飼われてい動物と同じという意味)
- 向こう(宇宙人)は信号を送っているが、その聴き方がわからない
- 向こう(宇宙人)は信号を送っているが、合わせる周波数がわからない
- 通信する気がない
- 生命は登場してまだ間がない
- 生命の誕生がめったにない
- 人間なみの知能は滅多にない
- 科学は必然ではない
なるほど、こんな考え方があったのかとか、まさかそれはないんじゃない?とか、いろいろツッコミながら読んでいくととても楽しい。
果たして宇宙人はいるのだろうか? いたらどんな姿をして、どんなことを考えているのだろう。きっと想像をはるかに超えていることだろう。楽しみなような、不安なような…。