2312 「福原信三と美術と資生堂」展

芸術・デザイン


美術館は、砧(きぬた)公園内にある

世田谷美術館で開かれている、「福原信三と美術と資生堂」展に行ってきた。

公立の美術館が、まるごと一企業を取り上げるのは珍しいが、行くきっかけになった新聞記事によると、最近盛んな美術館が企業化する動きに逆行し、企業を美術館化したらどうなるかという試みらしい。一企業の歴史だけで美術展が開けること自体もすごいことだ。

資生堂は、コーポレートアイデンティティーを古くから重視していることや、文化支援活動なども積極的に行ってきた企業として有名だ。資生堂の文化活動については、僕の大学時代に小論文の題材にしたような気がするが、どんなことを書いたか忘れてしまった。

二代目であった社長福原信三が、いまの資生堂の原点だ。写真、水彩画、油彩画を学び、留学中には画家との交流などで芸術への造詣を深めていく。そうした経験が、企業経営者としてもいかんなく発揮されているのだ。

創業時から続く伝統的な「花椿のデザイン」も福原信三によるデザインだし、当時の企業では珍しい意匠部を創設したり、資生堂ギャラリーを開設することで企業イメージを形作った。

「物事はすべてリッチでなければならない」が口癖だったらしく、その思いは資生堂の販促品に至るまで徹底されたという。精練されたデザインは、作られた時代の影響を強く受けるが、いまでも十分通用しそうだ。ちなみに、いまのロゴマーク(SHISEIDOの"S"が印象的なあれ)が、戦前からすでに登場していたのにも驚いた。

さまざまな展示を通じて、福原信三の“思い”が今日まで受け継がれていることに感心する。

ここ最近の謝罪会見などを思い出すと、会社のトップに立つ者の“思い”が、後世にまで伝わることなんて、いまの時代、ほとんどないんじゃないだろうか? →うちの会社も大丈夫??


写真は撮れないので入口の様子を…

一つの企業がテーマになるって珍しい

Posted by ろん