2257 職業選択の自由とは言うものの…
会社からの帰り道、向こうから笑顔の男が近づいてくるのがわかった。
「またか…」
先日と全く同じような状況だった。先日の男は、まず会社名と自分の名前を名乗り、名刺交換をさせて欲しいと言った。あくまで名刺交換をさせてもらえればそれでいいのだという。
常識的に考えて、それで済むはずはない。
こうして集めた名刺で、勤務先と個人を特定し、何らかの商売の道具にする魂胆であることは明白だった。当然その申し出を断った。
そして今日もまた、似たような男が、僕に対して明らかに“ロックオン”状態であったのを感じたので、できるだけ早く、彼の存在自体に気付かないふりをして通り過ぎた。
それにしても…
もちろん職業選択の自由はあるので、別に彼らがどんな仕事をしてようと構わないが、こうした職に就いていること自体、彼ら自身はどう思っているのだろう…って思う。
騙すように個人情報を集め、本当に相手が欲しい物であるかどうかなど関係なく自分たちの製品を売ろう(売りつけよう)とすることに対して、良心の呵責というものはないのだろうか?
もちろん、これらはほとんどは推測だし、そんな穿った見方ではなく、もっと良い方に解釈だってできるかもしれない。悪い人たちではないのかもしれない。
けれど、彼らを避けるように通り過ぎた後、なんだか言いようのないモヤモヤを感じてしまうのだ。