2244 壮大な実験
まさかこんなタイミングで辞めるとは思ってもみなかった。
最後まで中途半端な“前”農水大臣の挙動は、むしろ、とても気の毒に思った。
たぶん…これまでの説明では国民の理解が得られないであろうことは、彼自身もわかっていたはずだ。
どんな問題にせよ…いや、ましてや前大臣と同じ疑惑が掛けられていて、実際に限りなく“黒”に近いのであれば、まず大臣の職を辞することが傷を大きくしない最大の行動であることは、素人の僕でもわかる。いや常識的な考え方の持ち主だったら、そう考えるのは自然なことだ。
それでも、彼は辞めなかった。任命権者である首相も辞めさせることはなかった。その結果、当然、選挙に惨敗ということになった。
そして、なぜか惨敗という結果を見てから、内閣改造直前に辞める(辞めさせる)ことになった。1週間でも早く辞めたら、ちょっと違っていた結果になったかもしれないのに…
なぜ今なんだ?
はて…?
あまりにも、一般的な常識とかけ離れすぎている行動は、どういう思考回路から生まれてくるのだろう?
わからない。
・・・
あ、もしかして、閣僚が不可解な行動をすると、国民がどういう行動をするのか、壮大な実験をしているのかも…そうだ、きっと、試されているんだ。