裁判官の爆笑お言葉集/長嶺 超輝
裁判官の爆笑お言葉集 長嶺 超輝 幻冬舎 2007-03 |
テレビ番組でも、雑誌などでも「爆笑」という言葉には要注意だ。たいていの場合は、爆笑するほどのことはない。考えてみれば、日常生活で、爆笑することなんて、そんなにたくさんあるわけではないのだから、本やテレビを見ただけで、爆笑などするはずもない。
この本も同じで、爆笑するほどではない。けれど、笑うのとは別の意味でとても面白かった。
「さだまさしの『償い』という唄を聴いたことがあるだろうか?」と被告の少年たちに問うた裁判長の言葉が、本書の“はじめに”で引用されていたが、このニュースは広く伝えられ、僕も覚えがあった。
裁判って紋切り型のやりとりしかないんじゃないかと思っていたが、実は結構いろいろな発言があるのだ。そうしたさまざまな発言を集めたのがこの本。
構成は、見開きで1話になっていて、右側のページに裁判官のコメント、左側のページに解説が書かれている。
刑務所に入りたいのなら、
放火のような重大な犯罪でなくて、
窃盗とか他にも……。暴走族は、暴力団の少年部だ。
犬のうんこですら肥料になるのに、
君たちは何の役にも立たない産業廃棄物以下じゃないか。仕事が忙しいのは当たり前でしょう。
そんな言い訳が通ると思っているのか。
上記の引用した中には、「そんなこと言っちゃっていいの?」と言うことも含まれているが、裁判官である前に、ひとりの人間であることがよくわかる言葉ばかりだ。そういう点については評価が分かれるかもしれないが、無味乾燥な言葉より人の血の通った言葉の方がずっといい。
本書を読んで、自分も含め、素人にはとかく取っつきにくい「裁判」というものを身近に感じることができきたような気がする。