病床からのIN MY LIFE/吉川 みき
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病床からのIN MY LIFE 吉川 みき 扶桑社 2002-04 |
ママチャリ環七通り一周の調査で、インターネット上のネタを探してたとき、吉川みきさんのブログに出会った。
吉川さんは、シンガーソングライターでご自身がライブで歌うのはもちろん、多くの歌手に楽曲を提供したり、ラジオ番組も持つなどの活躍をされていた。
これまで病気とは無縁だった彼女が、長期にわたる入院を余儀なくされてしまう。国の特定疾患として認定されている難病だった。
当初の見通しよりはるかに長く2年近くにもわたる病院での生活。この本は、そんな毎日をつづった日記だ。
長い長い入院生活…。自分と向き合う時間が、ごく普通の生活と比べると格段に長くなる。その間気持ちをずっと穏やかにしていられることなんてできない。過敏になってしまった感情が、時には自分を責めてしまうし、時には周囲を責めてしまう。
医師への信頼と不信…
患者たちとの出会いと別れ…
社会と隔絶することの不安…
つづられる言葉のひとつひとつが、深く考えさせられる。
幸いにも僕は比較的健康で毎日を送っているから「明日がある」のは当然と思ってしまう。さらに、仕事などで面倒な予定を翌日に控えた日などは、「明日なんてこなけりゃいい」くらいに思ってしまうことすらある。でもこれは、あくまで健康でいられるという前提があってこそだ。
彼女は、死の淵をさまよってはじめて、「明日がある」という思いが錯覚に過ぎないことを知ったという。この本を読み進めていくうちに、その思いを少しだけ理解できたような気がした。
もし将来僕が同じような状況になった時、あらためて彼女の言葉の重みを間違いなく実感する…と確信というか…覚悟した。
そして、これがそう遠い“将来”ではなく明日起きるかもしれないということも。