メロンパンの真実/東嶋 和子

■たべもの,日常生活,龍的図書館

4062756544 メロンパンの真実
東嶋 和子

講談社 2007-02-10
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確かに、あんパンやクリームパンらに比べて、メロンパンほど出自が判らないパンはない気がする。

メロンパンに魅せられた著者が、その謎を探るべく全国を飛び回る。ときどき、取材しようとしたお店が定休日で出会えないことがあったり、インターネットのサイトを紹介の仕方がまずくてそのサイトの作者の気分を害してしまったり…と、さまざまな苦労を重ねながら、メロンパンのルーツを探る。

その中で、昭和6年、実用新案登録番号154057が、メロンパンのルーツであるという事実を導き出す。ということで、僕にとってはおなじみとなった特許電子図書館で調べてみたのだけれど、なぜかうまく見つけることができなかった。

メロンパンの歴史は古く、昭和初期にはすでにいまのようなメロンパンは確実に存在していたというが、それより以前については謎が多い。起源をたどろうとすると、それはそのままパンそのものの歴史を辿ることになる。


読み終わったあと食べたくなってしまった

メロンパンを語る上で、まずあらかじめ知っておいた方が良いことがある。あんパンやクリームパンなどとと違い、地域によって“メロンパンの定義”が異なるということだ。形すら違う。大きく分けて「円形」と「マクワウリ形」があり、場所によっては呼び名も違う。関西地方では、サンライズと呼ばれている。

メロンパンの由来についての結論は、結局出ているのか出なかったのだかちょっと曖昧になってしまったのは残念だが、全編を通じて、著者のメロンパンを愛する気持ちが十二分に伝わってくる。

ちなみに、メロンパンのルーツについてはWikipediaでも詳しく紹介されている。むしろ結論を先に知りたいのであればWikipediaで十分かもしれない。けれど、調査の過程を含めて、メロンパンの歴史を辿る旅に出てみようというのであれば、本書はとてもいい案内役になってくれると思う。巻末にはお勧めのメロンパン一覧が載っている。