2135 真実を伝えるということ

定点観察

最近よく行く模型店でのできごと。

掛かってきた電話にお店の人が出る。なにげなく会話を聞いてしまった。
電話の相手は、インターネットで在庫を確認して、注文してきた人らしい。お店の人は、何点か注文を受け付けて「念のため在庫を確認します」と言って電話を切った。別のフロアにいる別の店員に内線で在庫を確認させたら、どうやら、もうずいぶん前からなくなっていたらしい。

「(注文してきた)この人は、ちょっとうるさい人だから、『在庫がなかった』とは言わずに、いま売れたことにしよう」

店の人と口裏合わせ?をしたあと、注文してきた人に電話で…

「あーすみません、ついさっき売れてしまったみたいで…」

…と何食わぬ顔で謝っていた。

この光景を目の当たりにして、はじめは「なんて不誠実なんだろう」と少し腹立たしく思った。しかし、時間が経つにつれ、少し考えが変わってきた。もちろんインターネット上在庫表を、在庫切れの状態のままにしておくのは問題。けれど、このミスををそのまま注文してきた人に正直に伝えたとして、果たしてどんな意味があるのだろう…と思った。

正しく店のミスを伝えると…
 …「買えると期待させておいて買えないのは店の怠慢だ」…(怒)?

寸前に変われてしまったと伝えると…
 …「他のお客さんが買ってしまったのだから仕方がない」…(諦)?

在庫が無く、もう買うことができないという事実は変わらないわけで、あとは注文してきた人の心証だけの問題だ。今回のケースは、お店の人が保身で考えただけのことかもしれないが、結果的にはウソを教えた方が、皆が幸せなような気がしてきた。真実を伝えることだけが、必ずしもいいことでないんじゃないか…なんて考えてしまった。

Posted by ろん