2130 国立新美術館と黒川紀章展

建築・都市,芸術・デザイン

2007年1月に開館した国立新美術館に行ってきた。

国立としては30年ぶりの新しい美術館で、オープン当初はかなりの人出で混雑していたらしい。そろそろ落ち着いてそうだったのと、行ってみたかった“無料”の企画展「黒川紀章展」が、そろそろ終わりに近づいてきたので、ようやく行ってみることにした。

国立新美術館の建物の設計はもちろん黒川紀章。僕が建築に興味を持ち始めるきっかけとなった「中銀カプセルタワー」を設計したのが彼だったということもあって、黒川紀章にはある種の思い入れ?みたいなものがある。

彼の初期から現在進行中の作品まで、巨大なパネルや模型などが展示されている。これらの展示に本人の言葉による解説がなされている。“共生”とか“メタボリズム”とか“機械の時代から生命の時代へ”といった独特の哲学が、これでもかというくらい強い調子で見る者に訴えかけているようだった。

ただ、これらのメッセージは、解説があって初めてわかるのであって、少なくとも、僕にとっては、初期の作品を除いて、建物だけでは感じ取ることはできなかった。

建物自体に強すぎるくらいの個性を持った彼の作品が、“共生”とか“生命”という言葉にそぐうような気がしないのだ。彼の掲げる哲学は共感できるものの、その表現された結果…建物と合っていないように思えてしまう。


温室のよう…

黒川紀章展入口

初期のころの作品は、カプセルタワーに代表されるように、彼の哲学がとてもわかりやすい形で表現されていた。しかし時代を経るにつれて、ある程度万人受けするような感じの作品が増えてしまった気がする。しかも、そもそものカプセルタワーのように、メタボリズムを具現化した建物のはずなのに、実際には機能していなかったことなどを考えると、彼の哲学や作品には、懐疑的にならざるを得ないのだ。

そんな黒川紀章が、今度東京都知事選挙に立候補するらしい。うーん、どうだろう…。

Posted by ろん