2088 越えられぬ壁
こんなニュース。
ウォークマン聴き「瞑想」のCM、猿のチョロ松大往生
湖畔で、人のように音楽を聴く。20年前、ソニー・ウォークマンのCMで、有名になった初代チョロ松が14日、29歳8カ月で死んだ。
CM出演後は猿回しで活躍、90年に引退した後は日なたぼっこの日々だった。「遠目で見ると、まるで昼寝するおじいさんでした」と、飼育係の村崎新八さん(42)は言った。
余生を過ごした熊本県では大病を患うこともなく、眠るように逝ったという。人間なら100歳近い大往生。「瞑想(めいそう)猿」は、最期まで人間のようだった。
( 朝日新聞 [ ウェブ魚拓によるキャッシュ] )
あのCMに登場してから、もう20年も経つのか…あの人間らしい表情がなんともいえなかった。でも、このニュースを見て、時間の経過の早さとともに、軽い違和感を持った。
29歳8カ月で死んだ。
「亡くなった」ではなく「死んだ」なのだ。余生もまるで「人間のようだった」というニュースなのに、あくまで「ようだった」であり、あくまでここは猿という「動物」の扱いだ。当然と言えば当然だけど、それにしても…。
「死んだ」という生々しい言葉に、どんなに人間らしくても、越えられない壁があることを痛感させられる。 この言葉にある種の冷たさを感じずにはいられなかった。