生協の白石さん/白石 昌則 東京農工大学の学生の皆さん

■社会・政治・事件,龍的図書館

4062131676 生協の白石さん
白石 昌則 東京農工大学の学生の皆さん

講談社 2005-11-03
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電車男をはじめ、ネットで人気のネタが次々と書籍化したが、この「生協の白石さん」もそのひとつ。その多くの記事は、インターネットで無料で見られるけれど、こうして本にすると、インターネットと関わりの薄い人にも知ってもらえるというメリットがあるだろうし、僕のようにインターネットとはかなり接していても、本の方が読みやすいという人も少なくないだろうから、これからもこうしたタイプの本は出続けるだろう。

生協職員の白石さんと東京農工大学の学生たちが、生協の掲示板を通して、なにげないやりとりをしていくという話。“生協”の掲示板なのだから、本来生協に関わることが投稿され掲示されるべきなのだが、かなり脱線した投稿に対しても、真摯な姿勢で回答する白石さん。そのユーモアあふれる回答は、彼の人柄を感じさせる。

他愛もない話ばかりなので、あっという間に読み終わってしまう。面白い。とても面白いのだけれど、一方で、いたって“普通”といった印象も持ってしまった。白石さん自身も本書にコメントを寄せているが、この人気に一番驚き恐縮しているのが、他でもない白石さんなのだ。彼はただ単純に生協の仕事を全うしようとしているだけなのに、急に人気者にさせてられてしまい、こうして本にまでなってしまったのだから。

インターネットがなければ、このような“珍現象”は決して起きなかっただろう。白石さんはあくまで知る人ぞ知る東京農工大学生協の一職員でしかなかったはずだ。それが今では知名度は全国区だ。面白い時代になったというか、不思議な時代になったというか…