2053 わかっていても…

定点観察

“疎遠”になってしまう理由は、ごく普通の…リアルな人間関係であれば、だいたい心当たりがあると思う。「就職、進学で離ればなれになった」「引っ越しして会う機会が減った」とか「仕事上のつきあいがなくなった」「ケンカした」とか…。仮に、はっきりした明確な理由がわからなくても、相対する者同士であれば、ある程度は類推できるだろう。

しかしこれがインターネット越しだとなかなかそうはいかない。ブログや掲示板、メールでのみのつきあいしかない場合、どんなにこちらが能動的に動いたとしても、相手も同じ行動してもらわないと、決して関係が成立することはない。相手が同じ行動を取らなければ、そこで関係は断絶してしまう。同じ行動を取らなかった理由の説明がない限りは、これまでのやりとりから類推するしかない。

これまでのやりとりで類推する…というのであれば、リアルな人間関係と同じ…と思えるが、そうではない。もちろん類推できるのであれば、リアルもインターネットも同じと考えてよい。問題は心当たりが全くなく、類推もできない場合だ。もし、リアルな人間関係でこのようなことが起きたとすると…それは“雲隠れ”とか“失踪”そのものに近いことになってしまう。リアルな人間関係で、突如相手が消えてしまったら、それこそ大騒ぎだろう。

以前「発信し続ける絶筆」という話を書いたが、絶筆とまではいないまでも、相手に何が起きたかわからないまま関係が絶たれてしまうことは、インターネットの世界においては、珍しいことではない。いや、そんなことはしょっちゅうあるといってもいいくらいだ。

ただ、ある程度つきあいが増してくると、インターネット越しの相手を“リアルな人間”として見なしてしまうこともある。その状態で、突如“失踪”してしまったら…? やはり、リアルな人間関係と同じように、動揺は避けられない。しかも、現実に目の前にいた相手ではないから、どうするともできないのだ。

もっとも「そもそもインターネットがなければ出会うことはなかった」と考えれば、悲観的になることはないのだけれど、そういう割り切りも簡単ではなく、わかっていても、やっぱり悲しいものだ。

Posted by ろん