鉄道員(ぽっぽや)/浅田 次郎

■文学・評論, 龍的図書館

4087742628 鉄道員(ぽっぽや)
浅田 次郎

集英社 1997-04
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ほんと、話が「うまい」…って思わせる。
「鉄道員(ぽっぽや)」は映画にもなったが、こんな短編の小説だとは知らなかった。よくこんな短いお話から、映画を作ることができるな…と別の部分で感心してしまった。

ここからはちょっとネタバレも含んでるかも…

最期の話を除いて、いずれの話も“幽霊”が物語の鍵を握っている。そう考えるとちょっと現実離れした感はあるけれど、それらの幽霊がとても人間くさくて、きちんと見えるのに、あくまで主役たちの引き立て役に徹している。まさに見えるのに実態のない…幽霊なのだ。

浅田次郎の本ははじめてだったが、著者の緻密な描写は読む人を、その世界へグイグイと引き寄せる。

堅物で頑固な鉄道員から、不法滞在する外国人労働者を操る裏社会、人々が街頭テレビに群がる昭和三十年代の日本、左遷させられるエリートサラリーマン…などなど、本当にそこに居合わせているかのような錯覚を覚える。

短編なのに、登場する人たちの人生すら垣間見えてくる気がするから、すごい。

特に「ラブレター」は泣ける。また会社に行く途中に涙を流す醜態をさらしてしまった…(苦笑)

(★★★★★)