1529 二つの事故・事件

定点観察

 定点観察二番搾りは平日だけの更新だけれど、ちょっと気になるニュースがあったので、臨時発行。

 二つの事故・事件について。

 ひとつめ。いま、尼崎で起きた福知山線(JR宝塚線)脱線事故後、JR西日本関係者の行動に注目が集まっている。事故列車に乗り合わせた運転士が、救助せずにそのまま勤務に向かったこと。事故後にボーリング大会が予定通り催されて、その後そのまま3次会まで続いたこと… 大きな事件が起きると、この手の問題が発覚することは少なくない。まだ出てきそうな感じだ。関係者はどのような思いで勤務に就き、どのような思いでボールを投げていたのだろう。

 ふたつめ。認知症(かつての痴呆症)の姉妹が、悪徳訪問業者に勧められるままわずか3年間で数千万円のリフォーム工事をさせられ、全財産を失ったというニュース。認知症だから記憶が曖昧で、被害額はさらに大きくなるおそれがあるようだ。契約も相当ずさんで、いまでも年金支給日には、業者が集金に現れるという。10年間に2500万円の契約をした会社の社長は、「病気とは思わなかった。2500万円は多すぎると思うが下請けが契約を取ったので把握していなかった」とのこと。こんな感じだから返金については即答を避けている。

 いずれのニュースも、ひどい話だと思うが、どちらのケースでも「いまの状況、相手の状況をどれだけ理解しているか」が、まったく欠如していると言わざるを得ない。誰を見て仕事をしているのか?

 尼崎の事故の場合(運転して亡くなった)同業の運転士の思いを想像できたならば、現場を離れることはできなかっただろう。指令に対しては「救助したいので自分の運転する列車に影響が出ないよう」逆に頼んだだろう。結局、指令に従って現場を離れたのだけど。

 また悪徳訪問業者(あえて悪徳と書かせていただく)が、もし自分の母親が同じような立場だったとしても、この程度の感想で済ますことができるのだろうか?このような状況でひどい契約内容を見て、返金できるかどうか悩むものだろうか?

 人間ってここまで冷たくなれるのかと悲しい思いがする。

Posted by ろん