東京窓景/中野 正貴

■建築・都市, 龍的図書館

4309267912 東京窓景
中野 正貴

河出書房新社 2000-11-15
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 風景や建物を中心とした写真を撮ろうとするとき、当然撮りたい風景や建物が中心となって、あまりそれとは関係ない人の姿(特に場違いな格好をした観光客など)は、写真の中に収めたくないと思う。もちろん人の姿を完全に消すことなんてできないので、ある程度妥協してシャッターを押す。ただ、この写真集のように、まったく人がいなくなってしまうと、とてつもない違和感を覚える。おそらくこの違和感を世の中の人と共有しようと写真集にしたのではないだろうか?見慣れた東京の風景から人影が完全に消えている。目を凝らして、どこかに人はいないか探してしまった。でも考えてみれば、これらの写真一枚一枚に最も近い位置にいるのは、実はこの撮っているカメラマン本人だったりする。1990年から2000年までの「誰もいない」東京の姿を写しだしている。写真はいきなり汐留の貨物駅から始まる。もちろんいまではすっかり再開発が進んでしまったが、写真では貨物駅としての役割を終え、使われなくなった車掌車(緩急車)や貨車がずらりと並んだ姿が見られたり、お台場のフジテレビが建設途中だったり、今はなき企業の看板が見えたりと、わずか10年ちょっとの間で、すっかり変わってしまった東京の変貌ぶりも楽しめる。とてもおもしろい写真集だが、ひとつだけ言いたいのは、撮影した場所を巻末に載せてはいるものの、全部ローマ字でわかりにくい。しかも巻末の一覧にはページ番号が載っているのに、写真集本編には一切ページ番号が載っていないので、写っている風景と巻末の一覧から類推するしかない。それも楽しめばいいのかもしれないけど、やはり面倒。
(2005/1/8) 【★★★★☆】 -05/1/8更新