カブトムシにはなぜ角(ツノ)がある/矢島 稔

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4569532527 カブトムシにはなぜ角(ツノ)がある―おもしろミステリアス昆虫記
矢島 稔

PHP研究所 1991-08
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 昆虫に関するさまざまな不思議を、著者の長年の経験をふまえたさまざまな事例で解き明かしていく。本書のタイトルに関する疑問については、そう難しいものではなく、餌である樹液をたくさん取るための戦いに打ち勝つために必要…ということは、予想通りのことだった。Q&A形式でたくさんの疑問に答えているが、そのうちとても印象的だった項目をあげると…
 なぜカマキリのメスはオスを食べるのか?という疑問については、そういう事例は極めて少なく10回に1回くらいしかないらしい。学校の授業だったか何かの本で、カマキリのメスはタンパク源としてオスを食べるって聞いたような気がするんだけれど。カマキリは、”動くものが獲物”という本能から、交尾の直後、たまたまメスに見つかってしまった場合に限られるとのこと。
 また「なぜ灯火に昆虫が集まるのか?」という疑問に対しては、著者の長年の経験を持ってしても、わからないという。考えてみれば、人類が誕生するずっと前から昆虫は存在し続けているわけで、その当時の地球は、山火事とか火山でもない限り、明かりなんてなかったはず。なぜ明かりに集まる本能が生まれてきたのかは、とても不思議。ただ明かりに集まることで、同種の昆虫に出会う確率は高くなるので、交尾産卵に好都合なことは確かだ。
 最近昆虫をあまり見る機会がなくなってきたけれど、この本を読んでいる間は、久しぶりに昆虫のことを思い出した。(2004/6/20)
【★★★★☆】 -04/06/20更新