891 フリーター

定点観察

定職に着かない若者、いわゆるフリーターが、一昨年には400万人を超し、10年ちょっとで2倍以上に増えたことになると、国民生活白書で発表された。白書では、高校・大学の新卒時はその多くが正社員を希望しているものの、そのときに定職に就かなかったり、もしくは就けなかったりすると、半数以上がフリーターを続けるようになるという。◆就職したくてもできないという経済状況に問題があることはもちろんだけれど、正社員になるメリットを見出すことができないというのも、原因の大きな部分を占めると思う。フリーターとはいえ、なんらかの仕事しなければ、生きていけないわけで、彼らはそれなりに生活をしていっている。贅沢はできないだろうけど、自分のできる仕事をして、イヤになれば辞めればいい。逆に、正社員になったからといって、最近では、福利厚生も削られ、雇用もこれまでのように守られるわけでもなく、メリットもあまりなくなってきている。そんな中で、なりにくい正社員になる理由がどこにあるというのだろう。なりにくい状況ならば、無理して正社員になろうとする人が増えないのは、理解できる。その一方で、単にフリーターの増加が「生産性を押し下げ、社会を不安定にさせる」という白書の考え方は、ちょっと一方的なんじゃないかなと思った。

Posted by ろん