YS-11~そしてついに
そしてついに
あれから半年。ついにチャンスが訪れた。
このチャンスは、無理やり作ったチャンスだけれど、こうでもしないと乗ることはできないと思い今回の決行にいたった。
紆余曲折はあったものの、なんとか福岡に到着。福岡から徳島までのJAC191便に乗る。
福岡空港の展望デッキから、これから搭乗するYS-11を見る。もう一機のYS-11がやってきた。福岡はYS-11がもっともよく集まる空港のひとつだ。
YS-11には、直接搭乗するので、当然、飛行機のそばまで行く必要がある。
係りの人に案内されて、駐機場に出る。
空港ビルの外に出てから、YS-11までは100メートルくらいあった。
YS-11の前まで来た。もっとたくさん写真を撮ったり、眺めてみたかったけど、僕が一番最後だったので、あんまりうろうろできず、すぐに乗り込む。
客室内は、ゆったりとは言えないまでも、狭さはほとんど感じられず。
改めてみてみると、座席上の荷物入れは、電車やバスと同じように乗せるだけ。
数えてみると、定員60名~64名のところ、乗客はわずか15名。客室乗務員は2名だった。
聞くところによると、いつもはもう少し人数は多いらしい。
所定の座席に腰を下ろして、外を見る。
遠くにYS-11が見える。博物館に展示されるような飛行機が、こうしてたくさん見られるのは、ほんとにうれしい。
定刻の11時45分まであと少し。
滑走路をちょっと走ったかなと思ったら、一気に大空へ。
さすがの性能だ。1200mの滑走路で飛ぶことができるが、この乗客の少なさでは、その半分くらいの距離で飛び立ったのかもしれない。
数分後、窓からは海の中道がきれいに見えた。
プロペラがブンブン回る。プロペラ機特有?の音と振動が、まさにいま、YS-11に乗っているということを実感。意外と静かだ。
高度が高くないせいか、雲の隙間から、地上ではおなじみのさまざまな施設が見えた。右の写真は、瀬戸大橋。
客室乗務員の呼び出しサインは、赤いレバーを引くというもので、かなり古めかしい。
また、JACのYS-11では、座席の前にテーブルもなく機内サービスで受け取ったコーヒーは、座席の肘掛に納められているコップ受けを使う。
飲み物のサービスがあるというアナウンスがあった。
小さな飛行機ゆえ、飲み物を運ぶトレーなどなく、二人の客室乗務員が、協力して希望の飲み物を受け付けていく。
一人は乗客の座席番号と希望の飲み物をメモしつつ、後方に控えるもう一人の客室乗務員に手話のように希望の飲み物の内容を伝え、準備をしてもらう。
ひととおり希望を聞くと、おぼんに乗せられた飲み物を前から順に配っていく。かなり手馴れた方法に、ジェット機では味わえないサービスを垣間見た思いだった。
気流の関係もあってか、着陸の10分くらい前からかなりの揺れ。
これがプロペラ機というか、この規模の機材特有のものなのかはわからないけれど、フワッと浮かび上がったり、逆にストーンと落ちる感じがしたり・・・。この感じが、プロペラ機を苦手にさせる原因のひとつなのかもしれないと思った。
徳島空港の滑走路を左に見ながら並行に降り、通り過ぎたところで、左に急旋回して、滑走路へ進入。
もちろん、無事、定刻どおり14時ごろに徳島空港に到着した。
駐機場に降りる。
YS-11に乗りたい!と思ってから、半年余り。ついに、搭乗することができた。
残念ながら、もう乗る機会はないだろうが、引退まで元気にがんばってほしい。
そして、できることならば、このような名機を、ふたたび日本人の手で作り上げて、
21世紀の"YS-11"に乗ってみたい。
2003/4