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龍的書店

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社会・政治



下流社会 新たな階層集団の出現

三浦 展/著
光文社

819円(税込)  

一億総中流という意識が崩壊し、日本も階層化した社会が生まれつつあるのではないかと危惧する本が、今年はたくさん出版されていて、本書もそのうちの代表的な一冊だ。相変わらず図書館から借りているのでよく分からないけど、どれも売れているらしい。

本書の冒頭に、こんな質問が載っている。当てはまる数が多ければ、下流に近いとのこと。ちなみに、チェックボックスにチェックを入れても、何も起きませんのであしからず。

 1. 年収が年齢の10倍未満だ
 2. その日その日を気楽に生きたいと思う
 3. 自分らしく生きるのがよいと思う
 4. 好きなことだけをして生きていきたい
 5. 面倒くさがり、だらしがない、出不精
 6. 一人がいるのが好きだ
 7. 地味で目立たない性格だ
 8. ファッションは自分流である
 9. 食べることが面倒くさいと思うことがある
 10. お菓子やファーストフードをよく食べる
 11. 一日中家でテレビゲームやインターネットをして過ごすことがよくある
 12. 未婚である(男性で33歳以上、女性で30歳以上)

あれ、結構当てはまってる…別にいいけど。

そういえば、かつては「一億総中流」と呼ばれていた時代があった。自分の記憶の中にも、国民の多数が「自分は中流」という意識を持っていることが調査により分かったみたいな新聞記事を読んだ記憶もある。

この調査の基本になっているのは、内閣府が実施している国民生活世論調査の中の一項目「あなたの生活程度は世間一般と比べてどれくらいですか」という質問に対する回答だ。かつては「中の中」が圧倒的だったものが、近年では「中の中」が減り「中の下」や「下」が増える一方、「中の上」に変化は見られない状況となっている。これが階層格差を意識面から裏付けると筆者は言う。

趣味や生活習慣、食生活はもちろん、人生観に至るまで、上、中、下では、数字に表れるほどの違いが見られることが、さまざまな調査結果から裏付けられている。決めつけ方が強引な印象も受けるし、そもそもサンプルの数が少ないので、まぁこういった傾向が見られるという程度にとどめておいた方がいいかもしれない。
「私は20代のサラリーマン時代、人より非常に仕事が速かった。だから残業が少なく給料が少なかった」…と言い切っちゃう(p.266)筆者だし、まぁ、そんな見方をしてもバチは当たらないような気がする。なんとなくだけど。

 結局どうしたらいいのか?という結論は出てこないし、最後の章ではいろいろ提案は出ているけど、ほとんどがふざけた冗談みたいなネタばかりなので、ちょっと消化不良を起こすかも。


 そんな中で、本書の最初の方に書かれていた、階層意識の進行が経済にどのような影響を及ぼすかという点については、わかりやすい事例で説明されていたので、忘れないうちに、ちょっと引用…。
 100万人にスーツを販売するという例で、かつての日本では中流が群を抜いて多かったから、中の階層にひたすらたくさん価格も中のスーツを売れば良かった。しかし中流意識の人たちが減り、上流と下流に分かれていくと、単純に売り上げが減っていってしまう。さらにデフレが進行し、中流の人たちが買う商品の価格が下がってしまうと、もっと売り上げは減ってしまう。

かつての総中流


10万円×8万人=80億円
7万円×64万人=448億円
3万円×29万人=87億円
合計615億円
1.階層意識進行で価格不変


10万円×15万人=150億円
7万円×45万人=315億円
3万円×40万人=120億円
合計585億円
→単純に売り上げが減る
2.デフレ進行


10万円×15万人=150億円
5万円×45万人=225億円
3万円×40万人=120億円
合計495億円
→さらに売り上げが減る
3.上に高い物を買ってもらう


15万円×15万人=225億円
5万円×45万人=225億円
3万円×40万人=120億円
合計570億円
→以前の水準には届かない
4.上にもっと高い物を買わせる


20万円×15万人=300億円
5万円×45万人=225億円
3万円×40万人=120億円
合計645億円
→ようやく上回る


(2005/12/23) 【★★★☆☆】 −05/12/23更新



大仏破壊 バーミアン遺跡はなぜ破壊されたか

高木 徹/著
文藝春秋

1,650円(税込)
  この本を読むまで、アフガニスタンのバーミヤン遺跡にあった大仏のことなど、自分も含めて忘れかけていた。世界の一般的な世論だって同じようなものだと思う。特にアメリカの同時多発テロ以降は一層そちらの方に目が向いてしまった。
 しかし、このテロの原点は、バーミヤン遺跡の大仏破壊にあったと言っても過言ではないことがよくわかる。
 一時期アフガニスタンが注目されたとき、「タリバン」とか「アルカイダ」という言葉を見聞きしたから、聞き慣れてはいるけれど、一体それらがなんなのかわかっている人はそう多くなかったと思う。もともとNHKの番組のための取材が元になっていることもあって、ちょっと取っつきにくいアフガニスタン情勢がとてもわかりやすく書かれている。

 タリバンが最初から、世界を敵に回すような存在ではなく、崇高な理念を持った集団で
あったこと、徐々に変質しつつあったタリバンの中にあっても、なんとか軌道修正しようと努力した人たちがいること、オサマ・ビンラディンのしたたかさはただならぬものであること、大仏を破壊から守ろうと尽力した日本人外交官がいたこと…

 大仏が破壊されるまでの経過を追っていくうちに、一気に読んでしまえる感じの本だった。これまであまり関心のなかった地域だったが、読み終えると身近に感じられるようになってきた。
(2005/3/27) 【★★★★☆】 −05/3/27更新



テレビ―「やらせ」と「情報操作」
渡辺 武達/著
三省堂

1,680円(税込)
 テレビのいわゆる「やらせ」は、相変わらず起きている。そのたびに、テレビ局は反省を誓うが、あまり時間をおかずして、ふたたび起きてしまう。やらせが判明した分だけでも結構あるのに、見えないところでのやらせは、それこそ無数にあるのではないだろうか?テレビも含めて、なぜメディアは同じことを繰り返すのか?構造的に何か原因があるのではないか?メディアに多く関わってきた著者が自身の経験も合わせて、わかりやすく紹介している。また最近は、NHKにまつわる一連の騒動や、ライブドアのニッポン放送買収の動きなど、ニュースや情報を伝える側自体が、話題の中心になることが少なくない。そうした状況下では「情報操作」という問題にも気をつけてみておく必要がある。漫然とメディアからの情報を受け取るのではなく、たまには冷静にメディアの側の事情を考えてみることはとても有意義だろう。これまでのやらせ、情報操作の実例、CM製作にはどんな形で人々が関わりどれくらいのお金が動くのか、そして視聴率偏重の裏側といった話など、とても興味深い。他にも、自称「霊能者」たちの霊視や占い、科学的ではないことをあたかも真実のように扱うこと自体が、放送基準に違反しているという、今の番組内容からは想像もつかないようなきまりが存在していることなども紹介されている。そういえば、血液型を取り扱う番組が放送基準に抵触しているのではないかという指摘があったが、その後もこういった番組がなくなっていないところを見ると、事実上無視されている状態だ。結局こういった番組が減らず、放送基準が無視されている背景には、視聴率が稼げる(=たくさんの人々が見る=支持する)からであり、やはり見る側の姿勢が問われてきてしまう。そうなってくると、いっそのことテレビなんか見ない方がいいのかもしれない…なんて強がり言ってみたり。でも最近はあまり見なくなったな。
(2005/2/1) 【★★★☆☆】 −05/02/20更新

取調室の心理学
浜田 寿美男/著
平凡社

735円(税込)
 凶悪事件が起きたらできるだけ早く犯人が逮捕されて欲しいと思うのは、事件の当事者ばかりではなくその事件をニュースなどで知った一般の人々も同じだ。容疑者として身柄が拘束され、その容疑者が自白してくれれば、事件解決の第一歩だ…と思うのは、当然のことだ。でも、その容疑者が実は犯人ではなく事件とは無関係だとしたら、どうだろうか?「逮捕されるくらいだから疑われるようなことをしているんじゃないの?」なんて、無責任に考えてしまうこともあるかもしれない。けれど、ここで紹介されている事例は、ほとんどが全くの無実としか思えないような事件ばかりで、もしその事件の当事者だったら…と考えると背筋が寒くなるような気がした。一度犯人と決めつけられてしまうと、証拠すら捏造され、しかも最後の砦である裁判官までもが、そういった事実に気付かないケースがあまりにも多いということにも驚かされた。タイトルは「心理学」となっているが、この言葉から受けるアカデミックな部分はあまりなくて、現実的な「現場」での話が中心となる。まもなく日本でも裁判員制度がスタートするが、少しでも冤罪をなくすきっかけとなって欲しい。
(2005/2/1) 【★★★★☆】 −05/02/20更新


希望格差社会-「負け組」の絶望感が日本を引き裂く

山田 昌弘/著
筑摩書房

1,995円(税込)
 最近では「勝ち組」と「負け組」という分け方が多く見受けられる。それらのグループの差がどんどん大きくなっていることが、さまざまな社会問題を引き起こし始めているという話。現在起きている様々な社会問題は「夢」や「希望」を持てなくなったことに原因であるとする主張は、「そんなこともあるものかな」程度に思いながら読み始めた。思い起こせば、「夢」とか「希望」とか大事なものだとは思っても、実は意外と軽視してしまっていたことが多かったかもしれない。読み進めていくうちに、実はその「夢」や「希望」がとてつもなく大きな存在であり、社会秩序というより社会全体を支えているものなのだということを思い知らされる。そして、かつての日本(って言ったって、1990年代はじめくらいのごく最近!)では、問題がありながらも、絶妙なバランスを保ちながら、なんとか国民が希望をもって生きてきたのに、それらが急速に崩れてきたらしい。それが顕著に表れたのが1998年。それ以降は、あらゆる分野で、「勝ち組」と「負け組」の二極分化が始まったのだ。どんどん絶望的な気分になってくる。最後の章では、著者なりの解決策を挙げているが、本書の大部分を占める希望格差社会の状況を知れば知るほど「こんな解決策でなんとかなるものかいな?」と思えてしまうのは、自分でも「希望格差」が広がっていると感じる場面が多く、小手先の改革ではどうしようもないだろうなと感じるからかもしれない。今の日本の状況を憂いている人、今の自分に満足していない人、リスクを回避するために問題を先送りにしている人…必読。非常におもしろかった。
(2005/1/5) 【★★★★★】 −05/1/5更新


イラク戦争と情報操作

川上和久/著
宝島社

756円(税込)
 図らずも、アメリカ同時多発テロから3年経った頃から読み始めた。これまでの戦争報道を振り返ってみると戦争に突入するまでの流れも含めて、興味深いことに全く同じような経緯をたどっていることがよくわかる。歴史は繰り返すのだ。…いや、同じような経緯をたどるように仕向けているのかもしれない。
 かつてアメリカの「宣伝分析研究所」というところで、プロパガンダは「7つ」に分類できることを見いだしたという。これが発表されたのは第二次大戦頃だったらしいが、まさに今でも通用する事象ばかりなので、そのまま引用する。

ネームコーリング
攻撃したい相手に対して、悪いイメージのレッテルを貼る操作…イラクを「悪の枢軸」と名指しした。
華麗な言葉による普遍化
対象となる人物や集団、あるいはその行為を多くの人たちが普遍的価値と認めているような価値と認知的に結びつける手法…イラク戦争の際、「不朽の自由作戦」と名付けた。
転移
多くの人たちが受け入れやすい、権威ある存在を見方につけることによって、自らの考えを正当化しようとする試み…大統領の外交姿勢は、キリスト教原理主義と結びついているらしい。
証言利用
信憑性があると認められた人物が語った、という形で人物の証言を利用することで自らの説得製を高めようとする手法…イラク反体制派の人物による証言を何度も利用した
平凡化
コミュニケーションの送り手が、受け手と同じような立場にあることを強調することで親近感を得ようとする…大統領は庶民的イメージを植え付けるのに腐心している。
カードスタッキング
トランプでいう「いかさま」都合がいい事柄を強調し、都合が悪い事柄を隠蔽する…まさに現在イラクで起きていると言えないか?
バンドワゴン
大きな楽隊が目を引くようにその事柄が世の中の趨勢であるかのように宣伝する方法…こちらも、イラクに隠されているとされた大量破壊兵器の話は記憶に新しい(結局見つからなかったが、この際見つからないことはどうでもいいことのようだ)

(2004/9/26) 【★★★★☆】 −04/09/11更新


ニュースステーション政治記者奮闘記   「テロリスト」がアメリカを憎む理由 
三反園 訓/著
ダイヤモンド社
(2003/12)
1,365円(税込)
 現在は「報道ステーション」という番組をやっているが、夜のテレビ番組に、ドラマやバラエティではなく「ニュース」というジャンルを持ち込んだのは、その前身である「ニュースステーション」が先駆けであったことは言うまでもない。もちろんキャスターの力による部分は大きいが、それを支える記者の働きがあってこそ、キャスターも力を発揮できるわけで、ニュースステーションで、国会記者会館から毎晩のように中継をしていた記者の記録である。本書にも書かれているがいつ家に帰っているのだろうと思うくらい、取材と中継のしっぱなしの毎日でその苦労がしのばれる。その一方で「事件は現場で起きている」じゃないけど、現場にいることの臨場感もあって楽しさもあるだろう。まぁそうでなきゃ「やってられない」とは思うけど。それにしても大変な仕事。当たり前だけど絶対僕にはできない…。今はなき「ニュースステーション」ばかりでなく政局の裏話まで、今だから言えるような話がいっぱいだ。とっても、おもしろい。
(2004/5/16) 【★★★★☆】 −04/05/16更新
  cover芝生 瑞和/著
毎日新聞社
1,401円(税込)
 燃え上がり崩落する寸前のワールドトレードセンタービルが表紙で目をひく。タイトルでテロリストに「」がついていることが、本書では重要な意味を持っている。「テロ」や「テロリスト」という言葉は、立場や使われる状況によって大きく異なる意味を持ち、公平であるべきジャーナリストが安易に使うべきではないという考えに基づく。ただ言い換えるのも適切ではないので「いわゆる」という意味で「」がつけられている。
 イスラエルとパレスチナの問題は、日本においてはなかなか理解されにくい。学校の授業ではほとんど触れられることはなく、日常生活においても直接影響を受ける話ではないからだろう。しかし、9.11、イラクへの自衛隊派遣、先日起こったスペインの列車爆破…というニュースは、イスラエルとパレスチナの問題は、我々の生活とは全く無縁でないことを思い知られる。本書は少々難解な問題を、著者の経験も交えながら、比較的わかりやすく解説している。中学生には難しいとしても高校生や、せめて大学生くらいには、この本を読んで、具体的な解決方法とまではいかないまでも、せめて日本がどうあるべきか、どうありたいかということを考える機会にして欲しい。(2004/3/31) 【★★★★☆】 −04/04/04更新


おい、ブッシュ、世界を返せ!   戦争のルール
マイケル・ムーア/著
黒原 敏行/翻訳

アーティストハウス
1,680円(税込)
 ここに書かれているすべてのことには賛同できないけれど、概ね著者の意見が実現すれば、少なくとも今より世界が良くなるような気がする。実際に報道されたニュースの詳細を見ていくだけで、ブッシュ大統領の抱える危険な状況を見ることができることは非常に興味深い。今回のイラク問題の背景を知ることができる。テロって何なんだろうということを改めて考えさせられる。
 ブッシュ大統領が「神に代わって行動している」みたいなことを、演説の中でしょっちゅう神様を引き合いに出すものだから、ついには本署内で”神様”が登場し、神様の立場でブッシュ大統領のことを書いているところは、ちょっとバカバカしいが、「別にブッシュ大統領は、パパブッシュ(元大統領)の息子であって、神の子ではない」とか「『神よアメリカに祝福を』という歌を歌わない方がいい、神様がアメリカだけをえこひいきしない」とか、アメリカ人にも聞いてもらった方がいいところもあった。
 また、アメリカのこれまでの犯してきた問題を改めて明らかにし今回のイラク問題との比較や、次回の大統領選挙で「打倒ブッシュ」を実現するためにどのように行動すべきか…という具体的な方法なども紹介されている(もちろん直接は関係ないけれど)
 米軍をイラクに駐留し続ける必要があるというのならば、まず、本書で書かれていること事実や疑問を、まずみんなで共有して、ブッシュ大統領に答えてもらってからにしてもらいたいと思った。(2004/4/18) 【★★★★★】 −04/04/18更新

  井上 忠男/著
宝島社
1,365円(税込)
 今のイラクの状況を考えるとちょっと信じられないけど、戦争にもちゃんとルールがある。それも、暗黙の了解というものではなく、きちんと明文化されているというから、ちょっと驚きだ。本書は例を挙げながら解説している。
 平時では殺人は重大な犯罪なのに、戦争中は敵を殺すことは何の犯罪にもならない…場合によっては英雄にもなってしまう。で、実際に戦争犯罪を犯した場合には、国家を”処刑”するわけにはいかないので、結局犯罪を犯した個人が処罰されることになってしまう。結局は個人が責任を取らなければならない…という事実は結構ショック。
 人質の禁止、生存に不可欠なものを保護、環境破壊の禁止、報復行為の禁止…なんて、きちんと戦争のルールを守っていったら、それこそ戦争なんてやってられないんじゃないかと思った。
 意外なところで、赤十字のマークは本来赤十字社と関係がなければ使用してはならないと、ジュネーブ諸条約で決まっているらしい。日本国内の法律でもそのように決められているとのこと。改めて戦争のルールを見直して、今のイラクの状況を考えてみるのも悪くない。(2004/7/31) 【★★★★☆】 −04/07/31更新


人はなぜストーカーになるのか   図説現代殺人事件史
岩下 久美子/著
小学館
1,785円(税込)

 ストーカーという言葉が、”日本語”になったのは、いつくらいだっただろうか?本書にも書かれているが、この言葉が日本で認知されるようになった頃は、何でもかんでも「ストーカー」という言葉があふれ、まるで流行語のような使われ方をしていたように記憶している。ストーカーの被害にあった側と、ストーカーとなってしまった側の立場から、その具体的な行動や思いをたどることで、こういった問題がごくごく身近なところで起きる可能性があるのだと実感させられる。
1991年に放送された「101回目のプロポーズ」の武田鉄矢や、映画「卒業」の結婚式のその場に花嫁を略奪しに来るシーンなんてのも、一歩間違えればストーカー的思考で、「諦めずに追いかければ必ず思いは遂げられる」という誤った幻想を植え付けてしまったメディアの弊害は小さくない。ただこれは「本当に人の嫌がることはしない」という、基本的なモラルがあるという前提の上で成り立っているはずで、単純に自分のやりたいことであれば、他人に迷惑を掛けることは仕方がないということとは全く違うはずだ。「コミュニケーション能力の低下」「傷つきたくない症候群」「孤独恐怖」というキーワードがストーカーを語る上で重要らしい。「ストーカー」に関して、まずその全貌を知るには最適の本だと思う。
(2004/11/01) 【★★★★☆】 −04/11/14更新
  福田 洋、石川 保昌/著
河出書房新社

1,680円(税込)
 殺人事件は発生したり容疑者が逮捕されたりするときには事細か伝えられるものの、その後の経過やその全体像を俯瞰する機会は滅多にない。また事件の名前はどこかで聞いたことがあるものの、その内容や背景などを知る機会もなかなかない。この本は、、事件を伝える当時の写真とともにその事件の全貌と時代背景などを、事件ごとに見開き一ページで紹介していくもので、とてもわかりやすい。当然のことだが殺人事件は残忍なものが少なくなく、どうしてここまでひどいことができるのだろう…と読んでいるうちに思わず背筋が凍るものもあった。こうした事件を振り返ることで、新たな悲劇を防ぐ手だてになれば…と思わずにはいられない。ちなみに本書刊行以降の裁判結果など補足し、99年以後の9事件が増補された増補改訂版があるらしい。(4309760139)
(2004/11/01) 【★★★★☆】 −04/11/14更新