龍的思考回路 メニュー
はじめての方へ 定点観察…このサイトのメインページです 書店…これまでに読んだ本を紹介します 旅行…見たこと、感じたことをまとめてます 交通…鉄道を中心に交通関係の話題 建築…心に残る特徴的な建物を紹介 社会科見学…好奇心を満たされに出掛けよう ダミー…龍的思考回路のキャラクター いろいろ…その名の通り、いろいろ 地図索引…地図からこのサイトを検索 お問合わせ…何かありましたらお気軽に 鯉降渓谷鉄道…75cm×40cmのNゲージ鉄道模型 はじめての方へ 定点観察 書店 旅行 交通 建築 社会科見学 ダミー いろいろ お問合わせ 龍的思考回路

龍的書店

2005年10月、11月、12月


下流社会 新たな階層集団の出現

三浦 展/著
光文社

819円(税込)  

一億総中流という意識が崩壊し、日本も階層化した社会が生まれつつあるのではないかと危惧する本が、今年はたくさん出版されていて、本書もそのうちの代表的な一冊だ。相変わらず図書館から借りているのでよく分からないけど、どれも売れているらしい。

本書の冒頭に、こんな質問が載っている。当てはまる数が多ければ、下流に近いとのこと。ちなみに、チェックボックスにチェックを入れても、何も起きませんのであしからず。

 1. 年収が年齢の10倍未満だ
 2. その日その日を気楽に生きたいと思う
 3. 自分らしく生きるのがよいと思う
 4. 好きなことだけをして生きていきたい
 5. 面倒くさがり、だらしがない、出不精
 6. 一人がいるのが好きだ
 7. 地味で目立たない性格だ
 8. ファッションは自分流である
 9. 食べることが面倒くさいと思うことがある
 10. お菓子やファーストフードをよく食べる
 11. 一日中家でテレビゲームやインターネットをして過ごすことがよくある
 12. 未婚である(男性で33歳以上、女性で30歳以上)

あれ、結構当てはまってる…別にいいけど。

そういえば、かつては「一億総中流」と呼ばれていた時代があった。自分の記憶の中にも、国民の多数が「自分は中流」という意識を持っていることが調査により分かったみたいな新聞記事を読んだ記憶もある。

この調査の基本になっているのは、内閣府が実施している国民生活世論調査の中の一項目「あなたの生活程度は世間一般と比べてどれくらいですか」という質問に対する回答だ。かつては「中の中」が圧倒的だったものが、近年では「中の中」が減り「中の下」や「下」が増える一方、「中の上」に変化は見られない状況となっている。これが階層格差を意識面から裏付けると筆者は言う。

趣味や生活習慣、食生活はもちろん、人生観に至るまで、上、中、下では、数字に表れるほどの違いが見られることが、さまざまな調査結果から裏付けられている。決めつけ方が強引な印象も受けるし、そもそもサンプルの数が少ないので、まぁこういった傾向が見られるという程度にとどめておいた方がいいかもしれない。
「私は20代のサラリーマン時代、人より非常に仕事が速かった。だから残業が少なく給料が少なかった」…と言い切っちゃう(p.266)筆者だし、まぁ、そんな見方をしてもバチは当たらないような気がする。なんとなくだけど。

 結局どうしたらいいのか?という結論は出てこないし、最後の章ではいろいろ提案は出ているけど、ほとんどがふざけた冗談みたいなネタばかりなので、ちょっと消化不良を起こすかも。


 そんな中で、本書の最初の方に書かれていた、階層意識の進行が経済にどのような影響を及ぼすかという点については、わかりやすい事例で説明されていたので、忘れないうちに、ちょっと引用…。
 100万人にスーツを販売するという例で、かつての日本では中流が群を抜いて多かったから、中の階層にひたすらたくさん価格も中のスーツを売れば良かった。しかし中流意識の人たちが減り、上流と下流に分かれていくと、単純に売り上げが減っていってしまう。さらにデフレが進行し、中流の人たちが買う商品の価格が下がってしまうと、もっと売り上げは減ってしまう。

かつての総中流


10万円×8万人=80億円
7万円×64万人=448億円
3万円×29万人=87億円
合計615億円
1.階層意識進行で価格不変


10万円×15万人=150億円
7万円×45万人=315億円
3万円×40万人=120億円
合計585億円
→単純に売り上げが減る
2.デフレ進行


10万円×15万人=150億円
5万円×45万人=225億円
3万円×40万人=120億円
合計495億円
→さらに売り上げが減る
3.上に高い物を買ってもらう


15万円×15万人=225億円
5万円×45万人=225億円
3万円×40万人=120億円
合計570億円
→以前の水準には届かない
4.上にもっと高い物を買わせる


20万円×15万人=300億円
5万円×45万人=225億円
3万円×40万人=120億円
合計645億円
→ようやく上回る


(2005/12/23) 【★★★☆☆】 −05/12/23更新



夜のピクニック

恩田 陸/著
新潮社

1,680円(税込)
 
 夜通しただ歩き続ける「歩行祭」という高校行事の、わずか1日の出来事だけを追った小説。これだけを書くと何とも味気ないけれど、わずか1日の出来事を通して、生き生きとした高校生たちの様子、心情が垣間見える。著者の表現豊かさにはびっくりする。著者はいくつくらいなんだう…と思ったら、もう40を越えているというのだから感性が若いというのか豊かなのか…奇をてらった表現は何もないのに、気持ちが伝わってくるようだ。

 当日までは、歩きとおせるだろうかと不安にうじうじしてるんだけど、始まってしまえばあっというまで、心に残るのは記憶の上澄みだけ。終わってしまってからようやく、さまざまな場面の断片が少しずつ記憶の定位置に収まっていき、歩行祭全体の印象が定まるのはずっと先のことなのだ。

 うんうん。と思わせるような場面が次々と現れる。たったひとつの高校行事だけを追った話だから、そんなに大きな事件が起きるわけでもないのだけれど、話にどんどん引き込まれていく感じがした。
そんな場面を見ていると、できることならばまた、中学生とか高校生に戻ってみたいなぁ…なんて思った。あれだけ早く大人になってしまいたいと思っていたのに、大人になってみると、あまりになんてことなかった…


(2005/11/5) 【★★★★★】 −05/11/05更新



響きと怒り

佐野 真一/著
日本放送出版協会

1,680円(税込)
 
 「尼崎列車脱線転覆事故」、「十七歳連鎖殺人事件」、「雪印乳業食中毒事件」、「JCO臨界事故」、「阪神淡路大震災」、「ニューヨーク同時多発テロ」の6件の注目を集めた事件、事故を取り上げている。本書は、それらすべての現場を訪れたルポルタージュである。
 いずれも、さまざまなシーンで前例として取り上げられるであろう事件、事故ばかりだが、あまりに規模が大きすぎて、その現場にいた一般の人々の存在は往々にして忘れられがちだと思う。
 事件、事故に居合わせた人々の視点で物事を見ることを忘れてしまう。これこそが風化であって、なぜ起きたのか?そしてそこに居合わせた人たちはどうしたのか?ということを記憶にしっかりととどめておく必要はあるだろうなと読んでいて思った。

 「十七歳連鎖殺人事件」について取り上げている箇所で…

家とは反対側にある国道一号線沿いには最近開店したばかりのマンガ喫茶がポツンと一件だけ派手な原色看板を出している。日本の大動脈のほぼ中央部の真横にふくらんだその光景はね治療不能に陥った大動脈瘤をなぜか連想された。そしてその大動脈瘤が突然破裂し、鮮血が飛び散るイメージに、十七歳の少年による不条理な殺人事件が重なった。

 派手な原色看板と国道一号線を血管と大動脈瘤に見立てて、事件が起きたから破裂されて…みたいな表現はどうかなぁ…と。他にも、ゴミ袋が薄紅色だとか、少年の高校のグラウンドが赤レンガ色、名鉄が赤色だとか、地を連想させる土地だと…いくらなんでも、ちょっと考え過ぎじゃないかななんて思った。


(2005/11/5) 【★★★☆☆】 −05/11/05更新



世界中が雨だったら

市川 拓司/著
新潮社

1,365円(税込)
  相変わらずベストセラーを読まない僕ですが、今回もこの著者の大出世作である「いま、会いにゆきます」は見てない。本書は「愛」というものをテーマとした3つの短編で構成されている。

 どれも「愛」が共通しているにもかかわらず、環境によって愛が似ても似つかぬ姿に変わっているということを見せつけられる。全然美しくもなく、きれいでもなんでもない。他に代わる言葉がないから「愛」という言葉で代用しているだけなのかもしれない。

 物語に登場する人たちの立場だったら、おそらくぼくも同じような行動をしてしまうんじゃないかという現実感が、この物語を一層リアルなものにさせている。どうしようもない状況に置かれたときの閉塞感には、息が詰まりそうになった。

 特に「世界中が雨だったら」という話は、読み進めていくうちに涙があふれてきた。
 なお、この話は著者のインターネットサイトで公開されていたものを加筆修正されたようだが、もともとのタイトルは「ぼくを殺したみんなへ」だった。ネタばれになるのでこれ以上細かいことは書かないけど、今のタイトルの方がずっといいと思った。


(2005/10/16) 【★★★★☆】 −05/10/16更新


ワンダーアイズ

ワンダーアイズプロジェクト
求竜堂

1,575円(税込)
 
 モザンビーク、ウズベキスタン、東ティモール、日本、オーストラリア、ブラジルのそれぞれの国々で子供たちにカメラの使い方を教えて、思い思いに写真を撮ってもらおうというプロジェクトがあるらしい。その成果である写真を異なる価値や社会の理解を相互に深めるための手段として使おうという、面白い活動だ。
写真は実に自由に撮られていて、アングルもあまりこれまで見たことがないような感じがするのは、やはりこれが子供らしい視点ってやつなのか?

その国の何歳の子が撮ったということはわかるのだけど、できることならば、写真から読みとれることだけではなくて、撮影した子はどんな子で、撮影されたのは何月何日の何時ごろみたいなこともわかると、もう少し写真に奥行きが出るような気がするんだけど、それだと趣旨とは違った方向になってしまうのかな…?

 写真の一部はこちらのサイトでも見ることができる。

(2005/10/16) 【★★☆☆☆】 −05/10/16更新


気象観測マニア!


三推社
1,80円(税込)

 マニアとびっくりマークを付けられるほど、マニアではないけど、気象については以前から関心がある。機会があれば、気象予報士の資格でも取って、お天気兄さんにでもなろうかと思ったくらいだ。でもカメラやマイクの前で緊張するだろうから、きっと無理だろうな。
気象に関するあらゆる最新情報が載っていて、気象観測初心者?の人にもわかりやすい。また本当のマニアにとっても基本的な情報を改めて見直してみるいい機会になるかもしれない。

意外と知らなかったのは、気象用語について(一番最後のおまけみたいなページなのだけど)で、よく使う気象用語の時間配分なんてのは、初めて知った。厳密に決まっているのだ。気象用語で、朝とは午前6時から9時までを指すみたいだし、昼前と言えば午前9時から正午前まで、夕方と言ったら午後3時〜午後6時までを指すのだそうだ。

時間の経過についても同様に決まってて…

一時 現象が断続的に起こり、その現象の出現期間が予想期間の1/4未満のとき
時々 現象が断続的に起こり、その現象の出現期間の合計時間が予想期間の1/2未満のとき

といった具合だ。

ほかにも
 「さわやかな天気」といったら、原則として夏期や冬期には用いず、秋に移動性高気圧におおわれるなどして、空気が乾燥し、気温も快適な晴天の場合に使うとか、「ぐずついた天気」と言ったら、曇りや雨(雪)が2〜3日以上続く場合を指す…なんてのも、決まってるようで…。


(2005/10/16) 【★★★☆☆】 −05/10/16更新










上へ