触楽入門/仲谷 正史ほか

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触楽入門
仲谷 正史 (著), 筧 康明 (著), 三原 聡一郎 (著), 南澤 孝太 (著), 是澤 ゆうこ (イラスト)
朝日出版社 (2016/1/15)

人間の感覚には、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚のいわゆる”五感”があると言われる。

このうち、もっとも重視されるのは、おそらく”視覚”だろうし、味覚や嗅覚などは意識する機会も多い。

遮断したり、必要がないときに感じないようにできなず、四六時中感じ続けるを得ない「触覚」は、他の感覚とは大きく異なる。

あまりに身近すぎて注目されなかった「触覚」を取り上げる。

自分の感覚でも、IT技術の進化というものは、とかく視覚や聴覚に訴えることが多く、触覚は後回しにされてきた感じがする。

離れたところで、触覚を伝えるというのは確かに難しいだろう。

そんな、わかってるようで、実はほとんど知らない触覚、触感を、さまざまなエピソードや、ときには自分の身体も使った実験などと通じて、解き明かしていく。

ゴム手袋越しに触るとむしろ触感が鋭くなるとか、見間違いならぬ触り間違いのような触覚の誤解もあるといった、話もとても興味深い。

本文中「目をつぶってモノに触れるとき、感覚を研ぎ澄ますのに、名前がわかったとたん、それ以上の近くに注意をむけるのをやめてしまう」といった記述(p.102)があった。

膨大なことを処理するために、あえて感覚が鈍らせるように、人間の身体は作られているのだろうが、結果的に、感覚を研ぎ澄ますことを、無意識のうちに放棄しているとも言える。

これは、触感だけではなく、生き方そのものにも言えることだよなぁ…と思って、ちょっと印象に残った。

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