[社会の窓]朝のリレー

昨日は、久しぶりに大回り乗車に出掛けてきた

改札の外には出られないから、旅行というとちょっと物足りないというか、つまらなく感じる人も多いだろうが、列車の中に身を置く時間が長いぶんだけ、車窓や乗り合わせた人たちの様子を眺めたりする時間になって、目的地のある旅とは違った有意義な時間にも思える。

ふだんなら、そろそろ朝の支度をしようかな…という時間帯。この時間に、自分とはまったく縁のない成田線の電車に乗っている。

とある駅に着く。

しばらくして、すれ違う上り列車がやってきた。

向かい側に止まった上野行き列車には空席がないほどに混んでいた。

でもこれだけ大勢の人達がいるにもかかわらず、周囲は静まり返っていたのが印象的だった。

朝焼けが電車を照らす。

ここでは、もう朝は始まっているのだ。

ふと、谷川俊太郎の「朝のリレー」という詩を思い出した。

「朝のリレー」谷川俊太郎

カムチャッカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球で
いつもどこかで朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交換で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

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