この世にたやすい仕事はない/津村 記久子

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この世にたやすい仕事はない
津村 記久子
日本経済新聞出版社 2015-10-16

by G-Tools , 2016/03/27

 

「コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますか?」

”〇モホルンリンクル”のCMでおなじみのあの光景…2ちゃんねるのネタではないけど、あの手の仕事は、実際には大変なのだけど、どこかあこがれてしまう。

かなり慌ただしい仕事をしているせいか、ときどき、僕も…と思ってしまう。

燃え尽き症候群のようになって14年間続けてきた仕事を辞めた、実家住まいの三十代独身女性が、前述のような条件で、職業安定所で紹介された仕事を経験していく。

それぞれが独立しているのかな…と思ったら、5つの話は、微妙につながっている。

隠しカメラで監視する仕事、バスの広告放送を考える仕事、おかきの袋裏の豆知識を考える仕事、街中にポスターを貼って回る仕事、公園の森にある管理小屋での仕事…

どの仕事も、実際にありそうなのだけど、実際に仕事に就いてみると、どこか異次元というか、あり得ない感じという、ちょっとした非日常的空間に感じられたのは、この著者のなせる技だろうか。

どの話も、穏やかな展開のなかで、どこかシュールだったり、すっとぼけた感じが、読んでいて飽きさせず、楽しかったが、特に、特に4話の「街中にポスターを貼って回る仕事」は、ちょっとしたミステリーのようだった。

そして、最後に、キッチリとオチがくる当たりは、「そうきたか〜」と思った。

どこか冷めた感じのする主人公だが、5つの仕事を経験するうちに、仕事ばかりでなく、人の生き方なんかについても、主人公と一緒に考えさせられた気がする。

読後感は、まさにタイトル通り「この世にたやすい仕事はないなぁ…」といった感じだった。

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