チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1

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チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1
東 浩紀 津田 大介 開沼 博 速水 健朗 井出 明 新津保 建秀 上田 洋子 越野 剛 服部 倫卓 小嶋 裕一 徳岡 正肇 河尾 基
ゲンロン 2013-07-04

by G-Tools , 2015/11/05

1986年4月26日に発生した、チェルノブイリ原子力発電所の爆発事故。

当時のニュースなどを思い出すと、日本では起こりえないと何度となく言われてたような気がする。

たしかにチェルノブイリ原発と同じ理由では事故は起きなかったが、多くの人たちが生活の場を奪われ、広大な地域が放射性物質に汚染されてしまうという結果は、まったく同じだった。

単純に比較はできないが、参考になる面は多いはずだ。

そのひとつの答えが、チェルノブイリで実践されているダークツーリズムという考え方だ。

ダークツーリズムとは、災害被災跡地、戦争跡地など、人類の死や悲しみを対象にした観光のことで、レジャーではなく学びの手段としての観光のことだ。

本書は、将来の福島第一原発事故跡地をダークツーリズムとしての観光地化を意識して書かれている。

たしかに、立場によっては不謹慎と感じられて面もあるかもしれない。

しかし、著者たちが取材を通じて強く印象的だったこととして、原発推進、反対、政府、市民といった、どのような立場にあっても、共通していたのは「人々がチェルノブイリに関心をもってくれるのであればそれはいいことだ」と答えたことだという。

どのような立場であっても、一番怖いのは「無関心」なのだ。

本書は、大きく2部構成となっていて、前半がチェルノブイリの”観光”ガイド、後半がインタビューを中心とした取材となっている。

観光ガイドを意識したということだけど、どうしても説明が多くなってしまい、あまりそういう感じはしなかった。

また、ダークツーリズムという考え方にも触れられている。

以前、僕が訪れたことのある、洞爺湖(有珠山噴火)や、国立療養所多磨全生園(ハンセン病)、大和ミュージアム(太平洋戦争)なども紹介されていて、無意識のうちに、ダークツーリズムをしてきたようだ。

東日本大震災での津波被害に関連する遺構を保存するか撤去するかで、議論になることからもわかるように、ダークツーリズムに対する理解は、これからのようだ。

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