超光速ニュートリノとタイムマシン/竹内 薫

世紀の大発見がもたらす未来 超光速ニュートリノとタイムマシン
竹内 薫

徳間書店

 

この世で光が一番速い。それよりも速いものは存在しないことになっている。

しかし、2011年9月、「ニュートリノが光の速さを超えた」というニュースが全世界を駆け巡った。

これが本当であれば、アインシュタインの相対性理論の考え方を打ち破る世紀の大発見となる。

あまりに突飛な話に、実際のところはどうなんだろう?と、気になっていたが、図書館で、早くもこんな本に出会うとは思ってもみなかった。

本書の冒頭でも書かれているように、主に文系の読者のために、あえて専門的な説明を省き、比喩的な表現を使うことで、このニュースを解説している。
物理学などをほとんど勉強したことがない人向けというだけあって、あまり数字や数式などは登場せず、わかりやすい言葉で書かれている。

それでも、やっぱりちょっと難しかったというのが、読んでみたあとの印象だった。

「なんとなく、こういうことかな~」という理解しかできなかったが、きっとこのレベルで十分なのだろうと、勝手に思っている。

より印象深かったのは、このニュースで影響を受けるであろう、物理学者たちの気持ちだった。

論文で、「ニュートリノが超光速となってしまったから、追試をして欲しい」と振られた世界中の物理学者たち。

追試をするのには、お金も時間も掛かるし、本来のやるべき実験もある。まるで“残業”のようだというたとえはわかりやすい。

追試のために手間を掛けて、もし「この現象が正しい」ということが証明されれば、発見者の名誉になってしまう。逆に、「間違ってました」ということがわかっても、結局無駄な時間とお金を掛けてしまったことになる。

追試した人への、インセンティブは働きにくいのだ。なかなか追試をしたくない気持ちはよくわかる。
この、超光速というテーマは、タイムマシンとセットで語られることが多ったため、本書でも取り上げられているが、副題にある「世紀の大発見がもたらす未来」というのは、ちょっと違和感があった。

ちょっと大げさというか、これだけ見ると、今回の発見(というか発表)が、あたかも正しくて、タイムマシンができてしまうんじゃないかと誤解されやしないかと気になった。

もちろん、本書を読めば、そんな断定はしていないし、科学的見地から正確なことが書かれていることはわかるのだけど、タイトルはちょっと煽り気味な気がしたが、そうすることで、本書を手にする人もいるから(僕のように)、しょうがないのかな。

思い過ごしかもしれないけど。

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