駅伝がマラソンをダメにした/生島 淳

駅伝がマラソンをダメにした (光文社新書) 駅伝がマラソンをダメにした (光文社新書)
生島 淳

光文社 2005-12-13
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タイトルだけ見ると、駅伝を批判する感じの本なのかなと思ったが、実際には、そうではなかった。きっと、著者は、心から駅伝が好きなんだろう。「はじめに」の最後にはこう書かれている。

本来、駅伝とマラソンって、めちゃくちゃ面白い競技なのである。
読んで楽しむ駅伝とマラソン、いよいよスタートです。

本書で取り上げている駅伝とは「箱根駅伝」のことである。

1987年日本テレビで、箱根駅伝が完全生中継されるようになってから、日本の陸上界を一変させたというのは、容易に想像がつく。テレビの影響力は計り知れない。僕も中継のおかげで、毎年見る(2007年2010年)ようになった。今年も見た。

1月ごろだったか、街中で、見知らぬ人たちが、「なぜ箱根駅伝には関東以外の大学が出てないんだろう?」と真面目に会話しているのを聞いたことがある。それくらい、全国的なイベントだと誤解してる人が出てしまうほどなのだろう。

ルール上、選手たちは、箱根駅伝のコースの試走が認められていない…でも、実際にはどの大学も試走してる…とか、かつて、箱根駅伝は優勝を狙う一部の大学を除いてのんびりと強化する程度の大会であった…など、テレビでは決して紹介されないような、箱根駅伝の裏話が数多く載っている。

テレビの力に注目した大学が宣伝媒体として箱根駅伝に力を入れるようになった。興味深いインタビューが載っていたので、ちょっと抜粋…

「…駅伝部というのは存在し得ないはずなんです。なぜなら陸上競技、トラック&フィールドの一部でしかないんですから。もし、「短距離部」とか「投てき部」とか書いてあったら違和感を感じませんか?」(p.53)

たしかにその通りだと思った。こうした呼ばれ方(実際に部としても存在するようだが)をするのは、あきらかに箱根駅伝を意識してのことだろう。箱根駅伝によって全国区の知名度になった大学…と言えば…誰もが心当たりはあるだろう。

箱根駅伝の盛り上がりを見ればわかるとおり、駅伝に選手が偏ってしまい、結果的に男子マラソンを弱体化させていると指摘。たしかに、以前のように、強い男子マラソンの選手がいないせいか、代表的な選手名すら思い出せなくなってしまった。

日本の陸上界は犠牲を伴っている上に、箱根駅伝が成り立っているというのは、十分あり得る話だ。

今後どのようにすべきなのか?ということについては、自分なりの答えを持ち合わせていないものの、ちょっと気になる。

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