廃用身/久坂部 羊

4344003403 廃用身
久坂部 羊

幻冬舎 2003-05
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タイトルからして、何か深い闇がありそうな気がしてくる。「廃用身」とは、脳梗塞などの麻痺で自由がきかなくなり、リハビリしても回復できない手足のことを指す医学用語なのだそうだ。

本の表紙を開くと、漆原糾という医師が「廃用身」という本を書いたという前提で話が進んでいく。まずはこの漆原糾氏が書いた「廃用身」という本を読むことになる。そしてさらに、この漆原糾氏に出版を勧めた矢倉俊太郎氏による、編集部註が続く。あたかもノンフィクションを読んでいるかのような錯覚だ。細かいところまでできていて、著者漆原糾・矢倉俊太郎という奥付も用意されている。介護の現場を考えたとき、廃用身の存在が非常に重荷であってそれを取り去ることが結果的にプラスに働くという著者漆原糾の意見と、現状から目を背け興味本位の報道ばかり目立つマスコミの伝え方、そしてなにより介護を要する人たち…本を読み進めていくと、それぞれの立場から「廃用身切断」という行為を見ていくことになり、そのたびに自分の考えも揺り動かされてしまいそうになる。衝撃のクライマックスまで一気に読んでしまった。あくまでもフィクションなのに、”現実の問題”として考えさせられる本書は、みんなに薦められるわけではないけれど、できるだけ多くの人に読んでもらいたい。
(2005/2/1) 【★★★★★】 -05/2/20更新

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